2025年の米国野球殿堂表彰が21日(日本時間22日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンで発表され、メジャー19年間で通算3089安打を放ったイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、資格1年目で選出された。得票率は99・7%で満票には1票届かなかったが、アジア人初の快挙になった。
◇ ◇ ◇
◆解説 日本の殿堂投票では26人が投票せず得票率92・6%だったイチロー氏は、米国では99・7%を集めた。日本では1278安打で、他の殿堂入り打者と数字だけで比較されたのかもしれない。その一方、3089安打を積み重ねた米国では、3000本に到達した時点で多くの記者が殿堂入りを確実視するほど、業績は「スペシャル」な領域に達していた。
今回、資格10年目で殿堂入りしたワグナーの1年目の得票率はわずか10・5%。その後、徐々に得票率が上昇し最終年にようやく選出された。満票にはわずか1票届かなかったものの、イチロー氏が1年目でトップ選出されたことは、殿堂入り選手の中でもそれだけ傑出していた証しだった。
日本の殿堂入り発表後、王貞治氏は「中にはへそまがりがいる」と話した。米国の投票は1記者最大10人までできるが、投票先のすべてが公表されるわけではない。米国の「投票しなかった1人」は猛批判を浴びており、賛否は別として、米国では「自分が入れなくてもイチローは選出される」と判断したとの推測も聞かれる。
デビュー当時、米メディアの中ではパワー不足を指摘する声も聞かれた。だが、その後、全米各地でイチロー氏のフリー打撃を目にした他球団の監督や選手からは、柵越えを連発するその高い技術に驚嘆の声が漏れるようになった。ヤンキースのジョー・トーリ監督(当時)や主将デレク・ジーターらが「ホームラン・ダービーに出れば、間違いなく優勝する」と公言。出場の打診をイチロー氏が辞退したため、実現しなかったものの、その実力と人気、存在感は米球界でも飛び抜けていた。
文句なしの成績だけではない。イチロー氏の野球に取り組む姿勢も、周囲には広く知られるようになった。毎日、変わることのないルーティン。自宅だけでなく、本拠地、キャンプ地にも専用のトレーニング機器を設置し、最善の準備を繰り返した。そんな真摯(しんし)な姿勢が尊敬を集め、若い選手の手本とされるようになった。米球界内に浸透した、勤勉な日本人選手への信頼感は、イチロー氏の殿堂入りで、さらに揺るぎないものとなった。【MLB担当=四竈衛】



