<オールスター:ナ・リーグ0-3ア・リーグ>◇16日(日本時間17日)◇シティフィールド

 ヤンキース、巨人などで活躍し、昨季限りで引退した松井秀喜氏(39)が、大リーグのオールスターで解説者として「デビュー」した。テレビ中継にゲスト解説として招かれたもので、持ち前の豊富な知識を生かし、滑らかな語り口を披露。試合はア・リーグが、4年ぶりに勝利し、最優秀選手(MVP)には今季限りでの引退を表明しているマリアーノ・リベラ投手(43=ヤンキース)が獲得した。

 かつては外野の守備位置から見ていたリベラの背番号「42」を、松井氏は5階の放送ブースから感慨深く見つめた。今季限りでの引退を惜しみ、観客が総立ちで球界最高クローザーの最終登板を出迎えた光景は、同氏にも印象的だった。「きょうは、半分は彼のための舞台だったような試合でしたね。でも、よかったんじゃないですかね」とうなずいた。

 昨季の引退後、初めての解説業だった。試合後は「難しいですね。やはり見ている方に楽しく見てもらう解説は簡単じゃないですね」と、率直な感想を口にした。同氏は自ら「野球オタク」と言うほど、野球に関する造詣は深い。得意分野はプロ野球よりも幼少期からテレビにかじりついていた高校野球。一方で、野球に関する記憶力は驚異的で、自らが対戦した相手やカウント、球種、状況など、かなり克明に覚えており、メジャーでの経験談やエピソードを交えて解説した。

 試合前にはグラウンド内に姿を見せ、初めて「取材」を敢行した。ア・リーグのリーランド監督をはじめ、リベラ、カノのヤ軍勢、エンゼルス時代の親友ハンター(現タイガース)らと固い抱擁を交わした。球場内では初対面のダルビッシュ、対戦経験のある岩隈の日本人勢からの表敬訪問を受けた。「男前ですね、2人とも。スタイルもいいしね」。さらに、ヤ軍時代の恩師ジョー・トーリ氏とあいさつを交わすなど、積極的な外交姿勢も見せた。

 今月初旬から不定期ながらもヤ軍傘下の1Aスタテンアイランドで打撃投手を務め始めた。28日(同29日)にはヤ軍と1日契約を結び、引退セレモニーを行うなど、徐々に野球人としての活動も増えている。現時点で、来季以降の動向については未定。ただ、引退直後に「あまり野球は見ない」と話していた同氏の気持ちが、徐々にグラウンドに向かいつつあることは間違いなさそうだ。【ニューヨーク=四竃衛、佐藤直子通信員】