主砲が充実の沖縄生活を特大アーチで締めた。日本ハム中田翔内野手(25)が3回、昨季セ・リーグ新人王の大瀬良から中堅左へソロ本塁打を放った。2月中の実戦は9試合出場でチーム最多タイの4本塁打。プロ初の主力待遇を受けながら、少ない打席数の中できっちり結果を残した。春季キャンプ地・名護での調整を終え、気分よく南国から旅立った。

 早くも、仕上がった。中田が結果で、万全の調整を終えたことを証明した。3回2死。高い集中力で、甘い球を逃さなかった。「しっかりとらえることができた。とらえたポイントも良かった。本当に気持ちのいいスイングができた」。大瀬良が外角低めを狙った145キロ直球が、真ん中やや内寄りに来た。迷いなきフルスイング。豪快な放物線はバックスクリーン左の防球ネットに突き刺さった。

 主力待遇にふさわしい、2月の調整ぶりだった。昨季までは実戦に全試合出場が当たり前も、今季は全13試合中9戦の出場のみ。8年目で初めての実戦免除を経験。打席数を若手に譲る立場になった。「自分のやることをやるだけ」と体のキレを追い求め、ウエートトレーニングやランニング量を増加。夕食は必ず最初に野菜を多めに摂取。当たり前のように、脂分のあるドレッシングは避ける徹底ぶり。主力の自覚が、怪物の成長を促した。

 数字が物語る。前年に比べ、2月中の実戦出場は3試合少ない9試合。打席数も約20打席減った中で、本塁打数は1本増の4本塁打を記録した。12試合出場の西川と並んでチームトップタイ。確信した。「あとやることは…、しょうもないケガをしないだけ。早く開幕を迎えたいなと思っています」。ちょっと早い絶好調宣言にも理由がある。

 侍ジャパンで暴れる。10、11日は日本代表として欧州代表との親善試合(東京ドーム)に臨む。「オレの場合は3月10日に動ける体を作らないといけない。せっかく、日の丸を背負うんだから」。侍の4番を任される責任は重いが、やりがいもある。大看板を背負うだけに、温暖な地で抜かりなく仕上げたかった。

 頼もしい主砲に栗山監督も素直に賛辞を贈った。「チームを引っぱろうと感じられるのが、すごくうれしいよね。いい投手こそ、打ってくれないと」。この日、昨季新人王右腕からの真っ向勝負に、打ち勝った姿こそ真の4番に求められる姿。「気持ちのいい本塁打でした」。“どや顔”で言いきった表情に、自信が満ちていた。【木下大輔】