宮古市庁舎・市長室の入り口に、色紙が飾ってあった。「がんばれ 宮古 長嶋茂雄」。長嶋さんが、大学同窓で宮古市出身の知人を通じ、同市に贈ったものだ。山本正徳・宮古市長は「被災された方々が『コピーしていいですか。家に飾っておきたくて』とおっしゃってね。宮古じゅうに長嶋さんの色紙が飾られてます」と話した。

 松井秀喜さんとの縁もある。92年春のセンバツで、松井さんに2打席連発を献上したのが宮古高校だ。松井さんはここから「ゴジラ」と呼ばれるようになった。三陸鉄道キットDreamsのコーチで、同校OBの佐々木智嗣さん(50)は母校の応援で甲子園にかけつけていた。「どうもサインは敬遠だったらしいです(笑い)。あまりにも衝撃的だったので、試合後は反対側のアルプススタンドまで松井君を見にいっちゃいました」。

 三陸鉄道北リアス沿線に住む人たちは、とにかく野球が好きだ。久慈の御寿司屋さんで初めてまめぶ汁を食べたが、地元出身の楽天銀次のポスターがデカデカと貼られていた。佐々木さんが楽しそうに言った。「松井君、宮古に来てくれないかな。当時のメンバーでもう1回、宮古で試合するってのどう?」。長嶋さんも来たら、大変な騒ぎになるだろうなあ。【沢田啓太郎】