お酒の席なんかで1度は聞かれたことがあるであろう、この質問。「どんな人がタイプなの?」 私はこう答える。「字がきれいな人」。何なら、性格や顔より重視するかもしれない。美文字が大好物だ。そんなちょっと変わった(?)好みの自分には、この取材はとても興味深かった。

 待ち合わせたのは、日本筆跡心理学協会の根本美希子会長。ニュース番組にも鑑定を依頼される、筆跡診断の第一人者だ。お会いするなり、「自分の名前に様をつけて書いてください」と言われた。いつもと同じように、書いた。

 すると-。

 「リーダータイプというより控えめなサポートタイプ。単調な作業の繰り返しが嫌いで、刺激を求める性格ですね。友達は多め。自分から積極的に動かない面もあるけど、基本的に打たれ強くてまじめです」

 え、占い師ですか? 間髪を入れず、次々と性格を分析された。文字を見ただけで。

 このように、楷書ならスラスラと内面を診断できるそうだ。他人と比較もしやすい。ちなみに、リーダータイプか控えめタイプかは、「様」の「きへん」を見ると分かるらしい。筆跡診断、恐るべし。

 ただ今回紙面で診断を依頼したのは、野球選手のサイン。人と比べるどころか、この世に2つとない、オリジナリティーあふれる“作品”だ。新人選手はまだ丁寧に書く傾向にあるが、ベテランや人気選手になるほど、短時間で書くためデザインは簡略化してくる。うまいとかヘタとかいう次元の字じゃないのだ。

 しかしそこは鑑定のプロ。根本さんは野球は詳しくないそうだが、あの選手やこの選手の特徴を、ズバッと言い当てていて鳥肌が立った。野球好きな男性はもちろん、星占いや血液型性格診断をつい見ちゃう女性にも、ぜひご一読いただきたい。あ、そうそう。野球の実力は当然、字だけじゃ決まらないので、選手の皆さんはどうか、気にしすぎないでくださいね。【鎌田良美】

※「野球の国から 2015」<シリーズ10>「あくまでサインの話ですが…」取材メモ