09年に札幌ドームで行われたフレッシュオールスター。湘南(現DeNA)の田中健二朗は、背番号なしの日本ハムのユニホームでマウンドに上がった。運送会社の手配違いで、ともに出場した松本、北(現巨人)も含めてユニホーム、バットなど道具一式が届かず。やむを得ず、日本ハムの予備ユニホーム、使っていないグラブとスパイクという全身“借り物”状態で試合に臨んだ。

 「試合中、自分たちのユニホームは青森らへんにあったらしいです。もう、試合どころじゃない感じでしたよ。苦い思い出というか…。今では笑って振り返れますけどね」。試合は慣れないユニホームのせいもあってか2安打を許したが、2三振も奪って1イニングを無失点に抑えた。

 そんな左腕は、8年目の今季、監督推薦で初のオールスター出場が決まった。ファン投票の中継ぎ投手部門でも、巨人山口に次ぐ2位。2日に行われた会見では「まさか自分がこんな舞台に立てるとは思っていなかった。感謝の気持ちを込めて思い切り投げたい」と力を込めた。

 フレッシュ球宴でのハプニング以来、遠征前の荷物出しでは「入念に確認するようになりました」と笑う。今回の球宴2戦目の開催地は広島だけに、「入れ忘れとかないか、しっかりチェックしますよ」と、万全の準備で臨むつもり。スター選手が集う華やかな夢の舞台。こんな背景を知って見るのも面白い。【佐竹実】