ヤクルト石川雅規投手(35)は、高校野球のレベルに舌を巻いた。「今の高校野球をやっている子たちは、間違いなくレベルが高いよ」と、驚きの交じった声で言った。理由は、インターネットだと説明する。石川が青学大2年時に、スクリューと出会った際は、苦労したという。知人から話を聞いたり、自分で購入した野球専門書を読みあさる日々。動画サイト「YouTube」はなかった。「今のように便利な時代じゃないから大変だった」と懐かしんだ。

 時代は変化した。今の野球少年少女は、新たな変化球を簡単に習得できる。インターネットを開けば、求める情報が、ほとんど載っている。そこに危険性が詰まっていると石川は言う。

 石川 例えば、僕のスクリューも100人いたら、もしかしたら1人くらいは、ぴったりの子もいるかもしれない。でもみんな体の大きさ、腕の長さ、指の幅にしても大きさも全部違うからね。勧めるっていうことは違うと思う。

 さらに続けた。「やっぱり直球あっての変化球だからね。直球がちゃんと生きてこそ、変化球の変化が生きてくる」。

 学ぶ環境は格段に良くなった。ただし、石川と同じパフォーマンスができる投手が出てくるかと言えば、そうじゃない。どんなに情報化が進む中でも、基礎中の基礎が大切だということは、いつの時代でも変わらないのだろう。石川の話を聞いて、そう思った。【栗田尚樹】