東海大菅生(西東京)勝俣翔貴投手(3年)に会ったのは、今夏のU18W杯の大阪合宿以来だった。

 丸刈りだった髪は伸びて、ウエートトレーニングなどによって、体重も約5キロ増えたという。少し大人びた印象の面持ちで、練習前に約20分ほど話を聞いた。投手は卒業し、打者一本で勝負する思いなど、22日のドラフト会議を前にした心境は、16日の紙面で掲載させて頂いた。

 勝俣と言えば、きりりとしたやや太めの眉毛が印象的で、アニメクレヨンしんちゃんの主人公、野原しんのすけ似と評判だった。入学時に先輩に付けられた愛称は「しんちゃん」で、日刊スポーツでは、東海大菅生の「しんちゃん」として、今春のセンバツ前から何度も紙面で紹介してきた。

 スポーツ新聞的には、見出しになるありがたい愛称だったが、多感な年ごろの高校生。そんな呼び方は嫌ではなかったのか。

 「僕は全然大丈夫ですよ。今でもたまに周りから言われてます」と、愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔で話してくれた。

 かつては3年生を送る会で、ほっぺを赤くぬった「しんちゃんメイク」で笑いを誘ったこともあるという。U18W杯以降は、電車の中などで女子高生に話しかけられたり、記念撮影をお願いされることも増えた。「人見知りなんで、あまり得意じゃないです」と言いいながら、頼まれたらもちろん笑顔で応えている。

 運命のドラフト会議は、大学進学の選択肢も持ちながら、プロからの指名を待つ。どんな道に進んでも、サービス精神いっぱいの「しんちゃん」に、アニメ顔負けのハッピーストーリーが待っていることを願っている。【前田祐輔】