「リアルガチ」で、先輩を振り向かせる。日本ハムからドラフト3位で指名された東農大北海道オホーツク・井口和朋投手(21)が9日、網走市内で契約金5000万円、年俸900万円(金額は推定)で仮契約を結んだ。149キロ右腕は活躍の先に、お笑い界で人気の母校武相(神奈川)のOB出川哲朗(51)に続く全国区、ヤクルトファンの先輩を心変わりさせる意気込みもひそかに持つ。

 仮契約を終えた井口の表情は、ガチガチだった。小学生の時からあこがれていたプロのスタートラインに立ち、身も心も引き締まった。「みんなの手本になるような選手になりたい」と抱負を口にした。

 活躍を、あの人に届けたい。同じ武相出身のタレント出川だ。仮契約の緊張感から解放され、「野球をリアルガチで頑張りたい」と、出川の得意フレーズを織り交ぜた。井口が高校3年の時、芸能界で脚光を浴びていた先輩が母校を訪問し、携帯電話で写真撮影した記憶がある。「武相と言えば…という、有名な存在」と、今は遠い存在。自身もプロで成績を残せば著名OBとして名前が挙がるようになるかもしれない。「自分も盛り立てていきたい」と意気込む。

 ひそかに意識する先輩は、大のヤクルトファンで知られ、ファンクラブ名誉会員にもなっている。5日に放送されたテレビ番組「アメトーーク!」では、「侍ジャパン応援芸人」の1人として出演した際にもヤクルト応援名物の傘の取り扱い方から山田のすごさについて熱弁した。井口もその熱烈ぶりを知るが、「ヤクルトじゃなくて、ファイターズを応援してもらえるように」と闘志を燃やす。「自分はちょっとできない…」と照れたが、先輩を「ヤバイよヤバイいよ!」と驚かせ振り向かせる。

 日本ハムの大渕スカウトディレクターからはこの日、「マウンド度胸もあり、緩急も使える。1イニングをきっちり投げてもらえることを期待している」と、セットアッパーとしての起用を明かされた。「任せてもらったところで全力の投球をしたい。早く結果を残したい」。149キロ右腕の挑戦が始まる。【保坂果那】