トリプルスリーの背番号で、夢をかなえる。楽天ドラフト1位指名の関東第一・オコエ瑠偉外野手(18)が19日、都内のホテルで入団交渉に臨み、契約金8000万円、年俸1200万円(金額は推定)で合意した。背番号は「9」に決まった。今季3割30本30盗塁を達成したソフトバンク柳田と同じ番号で、偉大な先輩に肩を並べる活躍を誓った。

 楽天のユニホームに袖を通したオコエの表情は、希望に満ちあふれていた。背番号は「9」に決定。球団側から提示された番号の中から選ぶのに、迷いはなかった。「ソフトバンクの柳田選手と同じだし、3+3+3で9が良かった」。夢のトリプルスリーへ、最高の数字をゲットした。

 「ギータ化計画」は、すでに始まっている。プロでの最初の目標は「常にフルスイングできる体力をつけること」。関東第一のグラウンドで、重さ約1キロのバットでの素振りやティー打撃を行う毎日だ。「柳田選手は誰が見ても強いスイングをする。バットを振れる体力がなければ、技術はつけられない」。梨田監督が明言した来春キャンプの1軍スタートへ向け、パワーアップに励んでいる。

 夢の実現へ、大先輩に弟子入りを志願する。楽天でチームメートとなる松井稼は、西武時代の02年にトリプルスリーを達成。当時5歳だったオコエは、大の西武ファンだった。西武ドームからほど近い東京・東村山市に住んでいたこともあり「ファンクラブに入っていたし、よく球場で見ていた。鉄人みたいな方です」。トリプルスリー達成、メジャー挑戦と、自身が描く将来像を歩んできた憧れの存在だ。「今までの経験とか、聞きたいことがたくさんある。自分から聞かないとダメだと思うので、積極的にどんどん話しかけたい」と対面を心待ちにした。

 オコエにはもう1つ、欲しいものがある。1年目での目標は「指名された順位は実力じゃない。新人らしく、元気よくやるだけ」。契約金の使い道も「節約が一番だと思うので、親に渡して貯金します」と謙虚に言ったが、本音ものぞかせた。「車が好きなんですよ。もちろん結果を出してからですが、ベンツのゲレンデ(Gクラス)に乗りたい」。オコエが東北のファンに希望を与え、ビッグな夢をかなえてみせる。【鹿野雄太】

 ◆オコエ瑠偉(おこえ・るい)1997年(平9)7月21日、東京・東村山市生まれ。ナイジェリア人の父が、サッカー選手になってほしいとラモス瑠偉(J2岐阜監督)の「瑠偉」と名付けた。小1から捕手で野球を始め、小6で外野手に。東村山六中では東村山シニアに所属。関東第一では今夏甲子園4強。50メートル走5秒96。183センチ、86キロ。右投げ右打ち。