都市対抗野球で史上最多タイの通算14本塁打を放った「ミスター社会人」、ホンダ・西郷泰之内野手(43)が11月25日に引退会見を行った。

 ホンダでともにプレーした巨人長野久義外野手(31)、三菱ふそう川崎時代のチームメート、西武渡辺直人内野手(35)ら、西郷を慕う選手はプロ球界にも数多い。

 会見後に10分程度時間をもらい、後輩選手たちの言葉を伝えながら取材していると、逆に後輩たちへの熱い思いが伝わってきた。

 巨人長野の第一印象は。

 「あいつとは初めて大学生の時に会って。長野が大学4年生の時に全日本の合宿に来たんですけど、その時の衝撃が忘れられなくて。あいつは遅れて来たんですけど、フリーバッティングやったら、ほぼスタンドに入れる。こいつ何なんだと思った衝撃が第一印象。2年間全日本でやって、3年目にホンダで一緒にやることになったんですけ、あいつのすごさというか、こんないい選手見たことないなっていうぐらい、すごいなという選手でした」

 長野の一番の魅力は。「全部です。足速くて肩強くて、バッティングが良くて、インパクトが強くて、打ったときの音が違う。素晴らしかったですね」と懐かしんだ。

 さらに、西武渡辺が「『このチームの中で、オレが一番野球が好きだ』っていう野球少年のような人なんです」と言っていたことを伝えると、「いや、あいつの方が好きですよ。あいつは大好きでしたよ。あいつも頑張り屋さんで、必死になってやるタイプ」と優しく笑った。

 引退会見中に何度も繰り返したのが、指導者や先輩、後輩との出会い、縁に恵まれたということ。

 「後輩から見習うことありますよね。長野もそうですし、渡辺直人もそうです。ああいう姿勢というのはまねするべきで、負けていられないなと思います。年は下でもいいものはいいし、すごいものはすごい。見習うものは見習って、自分でも示せるものは示してという感じです」

 こんな姿勢も、社会人野球で25年間プレーを続けてきた力になったんだと思う。【前田祐輔】