だれかオレを止めてくれ!? 右肩手術から100%復活を宣言するソフトバンク松坂大輔投手(35)が30日、西戸崎合宿所で昨年8月の手術以来、日本で初めてブルペン入り。捕手を立たせて48球投げ、さらに40球を追加した。捕手に制止されるまで延々と投げ続けるほどの状態の良さ。明日2月1日からソフトバンク2年目のキャンプに「ノンストップ」で突入する。

 夕日を浴びながら70メートルの遠投を行った松坂は、そのままブルペンへ入った。午前中に筥崎宮での必勝祈願。午後からはミーティングや講習会などに参加。1度帰宅し「家でゆっくりし過ぎてました」と車で西戸崎合宿所に急いだ。午後4時過ぎからトレーニングを開始。誰もいないブルペンで、黙々と投げ込んだ。

 「向こう(宮崎)に行く前に感覚だけ確かめておこうと思って」。キャッチボールで状態の良さを実感し、ブルペン入りを決めた。自主トレを公開した2日前の28日もブルペン投球を考えていた。ただし、久々に人前での練習で力みを感じたため、見送っていた。待ちに待ったマウンドに立つと、歯止めの利かないエンドレス投球となった。

 捕手を立たせたまま、直球のみを続けた。「ラスト!」と告げて、48球目を投げた。もう終わると思いきや、重心のバランスなどを確認しながら「続投」。追加の38球目を投げたところで、捕手役の鳥井田リハビリ担当に「止めてください。永遠に投げるので」とストップを要求した。同担当が「ラスト2球」と笑いながら言うと、力強く2球投げ込んでようやく終了。合計で88球にもなった。このオフ、米国ですでに2度入り、この日は3度目のブルペン投球だったが、肩の不安がないからか気持ちも昨年とは違う。

 「投げたいという気持ちを抑えてやるというのはいいこと。(昨年の)投げないといけないというのではないので。キャッチボールや遠投をしてもバテなくなった。投げるスタミナが戻ってきている」。他者を意識した義務感ではなく、本来の投げることが大好きな平成の怪物に戻っている。

 宮崎キャンプでは球団からブルペンでの連投を禁止されている。それでも「初日に入ったら次は3日。2日に入ったら(そのクールの)次は入らないという感じですね」と、やる気がみなぎる。背番号18のユニホーム姿でのブルペン投球がいきなりキャンプ初日から見られるかもしれない。「全力でどれくらい投げられるか、どれだけ球数が投げられるかですね」とイメージを描いている。昨年は報道陣のカメラを気にするなど、投げる姿を見せたくない日もあった。この日は大量のシャッター音を浴びながらも、堂々と投げ続けた。自信に満ちあふれたスター松坂に戻り、キャンプ地に向かう。【石橋隆雄】