阪神岡崎太一捕手(32)が正妻奪取を猛アピールした。11日、紅白戦で岩崎から左中間二塁打と左安を放って2打数2安打。シート打撃を含むキャンプの実戦形式はこれで6打数5安打だ。

 金本監督は「6の5だろ? 去年の秋からやれと言ったことをやり通している。やり通す根性を持ってるから助言したくなるんだ」と絶賛した。「競争に入っていけると思うからオレも指導する。開幕ベンチにいないと思ったら教えないよ」。梅野、小宮山、坂本、2軍鶴岡らとの競争から1歩抜け出したような好印象を口にした。

 04年に松下電器から自由獲得枠で入団して12年目。ここ3年の1軍出場は昨年の1試合だけで、通算も41試合しかない。だが監督が買うのは、出番がなくても腐らず頑張ってきた姿。2軍で埋もれかけていた強肩と、少し直せば大化けする可能性を秘めた打撃センスだった。

 昨秋の安芸キャンプでは「トップが浅い。もっとバットを引いて打て」と熱血指導。岡崎も十分に間を取ってはじき返す打法を体に覚えさせ、「自分のものにしたい」と開眼を迎えようとしている。

 金本監督は「秋とは別人だよ、明らかに。頭は薄いままで変わってないけど」とジョークを交えて攻守の成長を高評価した。守りでは秋山がモーションを盗まれた3回こそ重盗を許したが、初回は荒木を二塁の数メートル手前で刺す強肩発動でガッツポーズ。「今年がラストチャンス。レギュラーを取る」と意気込む覚悟は本物だ。矢野コーチは「オレがレギュラーを取ったのは30歳。太一もこれからや」とエール。梅野か鶴岡かと思われた正妻争いを、ダークホースが引っ張っている。【松井清員】

 ◆岡崎太一(おかざき・たいち)1983年(昭58)6月20日、奈良県出身。智弁学園で甲子園に出場し、社会人松下電器に進む。04年ドラフト自由枠で入団。強肩の捕手として期待されるも昨季は1軍1試合、通算でも41試合出場にとどまる。180センチ、83キロ。右投げ右打ち。推定年俸850万円。