ヤンチャなパパはオトナになった。日本ハム中田翔内野手(27)が1日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、7年連続増額となる2億8000万円プラス出来高払い(推定)でサインした。昨年の更改では競走馬購入プランをぶち上げるなど、例年仰天発言での爆笑会見となるが、今年は家族のために「節約します」と一変。チーム最高年俸についても、交渉を控える大谷に白旗を上げた。

 お約束の“ミニコント”の中にも、今年は本音が隠されていた。会見場に姿を現した中田は、神妙な顔つきで切り出した。「1億円ダウンなので、節約します」。例年同様に、これは大ウソ。空気を察する報道陣に「何笑ってんねん」とツッコミ、「2億8000万円で、出来高もちょろちょろついています」と明かした。

 減俸はウソだったが、節約は本当だ。7年連続の増額。昨年は競走馬購入プランをぶち上げるなど、例年珍発言で爆笑会見を締めくくるが、この日は違った。「もう欲しいものはすべて手に入れているんでね」と冗談めかしたが、今年4月には第2子が誕生。「将来のためにお金をためたい。子どものためにお金を残しておきたい」と、家族を愛するパパの顔になった。

 自己最多となる110打点でタイトルを獲得。チームもリーグ優勝、日本一に輝いた一方で、打率は2割5分、25本塁打と伸び悩んだ。不振でスタメンを外れた時期もある。「もっともっと打てたという思いはある」と悔しさも残っている。

 3月にワールド・ベースボール・クラシックを控える来季は、順調にいけば1000安打(残り134本)、200本塁打(同39本)の節目の数字にも到達することになる。ケガなどの離脱がなければ、国内FA権も取得する見込み。「まずチームのためにやるだけ。(FAは)そこからの話。すべての面でキャリアハイを残して終わりたい。打点も打率も本塁打も盗塁も」と見据えた。

 暫定でチーム最高年俸の座は守っているが、大幅昇給が濃厚な大谷が交渉を控えている。中田は「翔平は(チームの)メーンの看板だからね。打つ方も投げる方も大きく貢献している。(抜かれても)何とも思わない」とキッパリ。ファンを喜ばせるのは、爆笑トークではなく来季のバット。オトナになった中田は、世界一と連覇がかかる来年へ、既に気持ちを向けている。【本間翼】

<中田の契約更改爆笑トーク>

 ◆現状維持? プロ初の契約更改となった08年は一軍出場がなく300万円のダウン。入団当初、母の管理による月額30万円の小遣い制は話題になったが、「貯金とかもしているんで、それは変えさせるつもりはない」と小遣いの現状維持を訴えた。

 ◆キャラ解禁 10年はプロ入り初のアップで1800万円。「今はネコをかぶっているだけなんで…。結果を出して言いたいこと言って、やりたいことやるのがカッコいい」と変身を予告。

 ◆えっ、1億? 全144試合にスタメン出場した12年、開口一番「1億1000万円でサインしました」と報道陣をどよめかしたが、「ウソです。8500万円です」とケラケラ笑った。大台突破はお預けだったが、「増額分で家でも買おうかな」と上機嫌。

 ◆大台 13年は念願の1億円プレーヤーに。最初は「5000万円ダウン」と驚かせたが、「本当は1億5000万円。2億くらい行くかと思ったけど。これも冗談ですよ」と笑わせた。一流の仲間入りに「自家用ジェット買おうかな」と冗舌だった。

 ◆中田賞 14年も「3億ぴったりですね」と恒例のジョークで始まったが、実際は2億円。設定したシーズン目標を達成した若手に豪華ご褒美を贈呈することを決めた。「変な話、お金ある人しかできないのでね」とリーダーの自覚を見せた。

 ◆馬主 15年はチーム最高年俸の2億4500万円。増額分で欲しいものを問われると「すべて手に入れちゃっているんで。馬でも買っちゃおうかな」と珍回答。“ジャッキー”と馬名まで決めていて、「別のルートで稼いでくれれば」と笑わせた。