ロッテ・サントスは自然と頭から滑り込んだ。0-1の1回無死一塁。「1点ビハインド。最低でも走者を二塁へ」と自ら判断し、阪神メッセンジャーの初球にセーフティーバントを試みた。代名詞の「走り打ち」のように、打席の中で走りながらバットに当て、一塁手と投手の間へ絶妙に転がした。「初ヒットが欲しい」気持ちが、キューバでもほとんどやらないヘッドスライディングになった。惜しくもアウト(犠打)だったが、この回3得点で逆転勝ちのお膳立てをした。

 己を知る。「2番中堅」で初スタメン。「僕は1番か2番が多い。打点より、走者を進めてクリーンアップに回すのが仕事」。5回無死一塁では二ゴロで進塁打。貴重な追加点につなげた。そして、8回2死三塁で来日初安打を放ち、ダメ押しのタイムリー。「ホームで初ヒットを打ちたかった」と、遠征前の最後の打席で願いをかなえた。

 負ければ4連敗で、今季最多の借金22だった。伊東監督には「大物打ちじゃないと、自分で分かっている。実戦的。使いやすい」と評価された。キューバ代表の看板を引っ提げ、先月25日に来日。当初は時差ぼけに苦しんだが、早起きを続けて復調した。「熱いプレーで盛り上げたい」。言葉も熱かった。【古川真弥】