金本監督に新4番を決めさせる!? 阪神新外国人のジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)が今日9日、甲子園での巨人戦前の1軍練習に初合流する。金本知憲監督(49)の生チェックが目的。勝負強いパワフル打撃でホレさせれば、最短17日広島戦(甲子園)のデビュー戦で4番を任される可能性も0ではない。チームはこの日も完敗して首位広島とは今季最大の9差に拡大。チームの今後を占う意味でも、注目のお披露目会になる。

 灼熱(しゃくねつ)の鳴尾浜で、“虎のパンダ”が陽気に快音を響かせた。「パンダ」の愛称を持つ新助っ人ロジャースが、前日に続くフリー打撃を敢行。54振で前日から2本増となる3本の柵越えをマークした。センター中心にヒット性も連発。別メニュー調整する藤浪ら投手陣が見とれる鋭い打球を放ち続けた。来日3日目の時差ボケもなんのその。米国で6月末まで実戦参加してきた状態の良さをアピールした。

 今日9日、いよいよ甲子園に初見参する。目的は金本監督待望の生チェックだ。1軍ナインと同じフリー打撃に加わり、指揮官にお披露目。「ここ一番でどれだけ打ってくれるか」と主軸を期待する金本監督も楽しみにしている瞬間だ。自慢のパワフル打撃、そして勝負強い打撃を披露すれば…。福留も調子を落としているだけに、最短17日の広島戦とのデビュー戦で、いきなり4番を任されるかもしれない。貧打解消へ、チームの浮上をかけた注目のお披露目会になりそうだ。

 球団もブラゼル級の起爆剤を願っている。09年6月に途中入団したブラゼルは4戦連発など16本塁打をマークしてAクラス争いをけん引。翌10年には47本塁打を放つなど4年間所属した。視察に訪れた高野本部長は、ブラゼルのような活躍を期待するかについて「そりゃそうですよ」とキッパリ言った。チームは貧打解消の打開策が手詰まり状態。首位広島と今季最大9差が開いて絶望感も漂い始める中、再浮上への切り札中の切り札的な期待の高さを示した。

 この日の昼食は回鍋肉(ホイコーロー)丼が出されたが、使い慣れない箸を右手に持って食した。掛布2軍監督も加わった練習前の円陣では「初めまして。ロジャースです。パンダと呼んで下さい」と自己紹介。自ら「パンダ」の呼び名を提案するなど、日本に、チームに溶け込もうとする姿勢は一生懸命だ。

 チームは防御率で依然リーグトップを誇るが、打率と本塁打数はBクラスと互角の数字だ。データの通り、貧打が敗因の多くを占め、この日もヒット6本で1得点と寂しい試合だった。果たして金本監督がホレ込む打撃を披露できるか。夜の伝統の一戦を前に、猛虎の今後を占う重要な時間が訪れる。【山川智之】

 ◆ブラゼルの阪神入り 阪神は09年5月末、米独立リーグから前西武のブラゼルを獲得した。ブラゼルは前年08年に27本塁打を放ったものの、同年限りで退団。阪神は09年入団のメンチが不振のため、緊急補強に動いた。ブラゼルは6月5日オリックス戦で1軍に合流し、3打席目に早くも1号。阪神に途中入団した外国人では最多の16本塁打を放った。翌年10年の47本塁打は、92年の甲子園ラッキーゾーン撤去後最多。在籍時通算91本塁打は阪神外国人5位と、結果を残した。もっとも当時は金本、新井らがいたため、阪神での先発4番はなし。5番241試合、6番120試合、7番50試合と、脇を固めていた。