日本ハム鍵谷陽平投手(26)が原点回帰で、巻き返しへのパワーを注入した。17日、母校の北海道・七飯中軟式野球部をサプライズで訪問。チームの移動休日を利用して後輩を激励し、思い出の地でリフレッシュした。後半戦初戦となる今日18日楽天戦は、隣町函館での開催。心温まる交流を発奮材料に、1年目の13年以来となる凱旋(がいせん)試合に臨む。

 一回りも二回りも大きくなった鍵谷が、11年ぶりに母校を訪れた。故郷・七飯町にある七飯中。校舎を眺めながら歩を進めると、懐かしいグラウンドが目の前に広がった。「全く変わっていない。ここで毎日、練習していました」と笑顔で見つめた先では、後輩がキャッチボールを始めていた。突然現れた先輩に、後輩らは驚きながら帽子を取って「おはようございます」。完全なサプライズ訪問だった。

 この日、野球部では今夏で引退する3年生部員を送り出す「引退練習」が行われていた。函館での楽天戦を前に、ひそかに激励プランが持ち上がり、秘密裏で計画が進められた。後輩に優しく鍵谷が「聞きたいことはある?」と即席で質問を受け付け、キャッチボールも指導。用意していたTシャツやボールに直筆でサインを入れてプレゼントするなど、交流を深めた。

 思い出の地で、背負う使命の大きさも再認識した。同校の野球部員は引退する3年生を含めて14人。1、2年生の10人で新チームは始動する。中学3年時は4番投手だったという鍵谷は「僕らの時は1学年に10人くらいいた。寂しいですね」と、厳しい現状も知った。「野球をやる子が少ないこともあらためて感じた。目の前の試合に頑張ることが(野球人口増へ)つながっていくと思う」と、気持ちも新たにした。

 最後は道南地方で人気の「ラッキーピエロ」のハンバーガーに、日本ハム製品も差し入れした。今日18日は函館での楽天戦が控える。函館遠征に同行するのは、1年目の13年以来2度目で「しっかり成長した姿を見せられたらなと思う」。4年前はベンチ入りも登板機会はなかった。今季はチームトップの35試合に登板し、実力も存在感も増した。「もっと、子どもたちに野球をやってほしい」と、プロ野球選手としての責任感も芽生えた。2軍でのリフレッシュ調整も終えた道産子右腕が心新たに、函館から再出発する。【木下大輔】