虎のパンダは救世主! 阪神の新外国人ジェイソン・ロジャース内野手(29=パイレーツ3A)がヤクルト13回戦(神宮)で、2打席連発。11得点大勝に導いた。1点リードの4回に左翼へ来日1号2ランを放つと、6回にも中越えの2ラン。7回にも適時打を運び、3安打5打点と大暴れした。糸井や糸原が故障離脱したピンチを救い、逆襲の使者になる。

 ロジャースが神宮の夜空へ、大きな花火を連続でぶっ飛ばした。「(カーブを)1打席目に打ち損じて、悔しかった。絶対にやり返してやるんだと思って打席に向かったんだ」。もう1度、カーブで攻めてくる。4回の1号2ランは、頭脳派パンダの読み勝ち。6回に放った2発目は、外角高めの直球を肉体派パンダの力技だった。バックスクリーンに直撃する2号2ラン。柔と剛を兼ね備える打撃を証明する2発だった。

 初めての敵地で、あいさつ代わりの放物線を描き「ここ、ビジター球場だよね? 打球がスタンドに入った瞬間からホームまで1周している間に、ファンからの声援がすごくて『ホーム球場みたい!』って思ったよ。ファンの応援に感謝だね!」。敵地まで駆け付けた虎党にほれ込んだ。

 日本球界未経験でシーズン途中加入した阪神の助っ人が1試合2発を記録するのは80年ボウクレア以来37年ぶり。それでも「まだまだ打者として修正すべき点がある」と、おごりはない。まだ日本にきて2週間ほどだが「おいしかったな」と、大好物になった焼き肉で、夏場もスタミナを維持していく。

 来日直後は、時差ボケや就労ビザが下りていなかったこともあり、鳴尾浜で入念なストレッチを繰り返していた。「思っていたよりも柔らかい。下半身がしっかりしてるから変化球にも対応できるんじゃないか」。その様子を見ていたトレーナーの証言が、ピタリと当てはまった。金本監督も「バットの出がいいから、最短距離で出ている。体重移動も少なく、ブレも少ない。後は慣れでしょう」と今後に期待した。

 広島が敗れ、ゲーム差は8に縮まった。引き離された首位との差も、野望を抱いてやってきた男が、縮めてくれる。愛嬌(あいきょう)ある背番号48は、最後までアピールを忘れなかった。「ジェイソン・ロジャース、通称パンダです!」。【真柴健】