楽天今江年晶内野手(33)が、今季初アーチを放った。オリックス12回戦(Koboパーク宮城)の5回、自身今季48試合目での1号ソロを左中間スタンドに運んだ。ジャフェット・アマダー内野手(30)の、球団史上初の1試合3連発を含む5打点で8-7で勝利。結果的に、今江の1発が貴重な1点になった。チームはオリックスにカード勝ち越しを決め、球団最多記録を更新する貯金29とした。

 完璧な1発だった。6-3の5回、オリックスの2番手金田の低め速球を、今江が迷わずに振り抜くと、打球は左中間スタンドに吸い込まれた。「手応えは完璧。あれでホームランじゃなかったら、今年はもうないと思った」と、思わずおどけた。チーム80試合目の第1号。ダイヤモンドを1周する今江の顔に、自然と笑みがこぼれた。

 後半戦が始まってから12打数5安打、打率4割1分7厘と、今江のバットから快音がよく響く。後半戦最初のカードとなった日本ハム戦で、礒部打撃コーチから助言を受けたことがきっかけとなった。今江は「感覚的な話。言葉で説明するのは難しい」と話すが、タイミングの取り方、バットを構える位置など、微妙にアジャストすることで結果をたぐり寄せるという。この日のオリックス戦でも、第1打席にもう一息で満塁本塁打の大飛球を放った後に修正し、5回の第3打席で1発を放ってみせた。「4打席あれば、投手によっていろいろ修正することができる」と自信を見せる。

 今季は出場48試合中、スタメン出場は29試合。レギュラーの座が確約されているわけではない。シーズン序盤に「今まではスタメンで出ることが多く、試合に出られないつらさがわからなかった。正直、悔しさはあるが、現実を受け止めるしかない。いずれチャンスをものにして、レギュラーを奪い返す」と漏らしたことがあった。そのチャンスが今、到来した。「本当に結果がほしい」。その一念で、アピールを続ける。

 今江の効果的な1発と、アマダーの3連発で打撃戦を制した。梨田監督は「明日(23日)も、何とかつないで点を取り、投手を助けてほしい」と打線のつながりを促す。貯金を29とした楽天が、強力打線で相手を圧倒し続ける。【田口元義】