阪神大和は左打席でも粘っこさが増してきた。2点を追う2回1死一、二塁で第1打席へ。1ボール2ストライクからけん制悪送球で二、三塁に場面が変わると、直後に由規の内角低めスライダーに食らいついた。短く持ったバットで押し込み、遊撃後方にポトリと落とす。執念の2点打で試合を振り出しに戻し、得点圏打率3割の勝負強さを見せつけた。

 「昨日のバッティング、どんな感じでした?」。練習中には報道陣に逆質問する場面もあった。スイッチヒッター転向1年目。まだ左打者としては試行錯誤が続いているが、繊細な感覚は徐々に体に染みつきつつあるようだ。前日21日ヤクルト戦は左打席で2安打。この日は7回の第3打席でも右腕石山の内角150キロを鋭くミートし、三直を放っている。追い込まれてからの粘りが光る。

 打率は2割9分4厘。右打席の3割8分9厘に対して左打席は2割2分4厘だが、この差を縮めていきそうな気配が漂う。ドラフト5位糸原の負傷離脱により、遊撃スタメンの機会が増えるのは確実。「1日1日、しっかりプレーするだけです」。存在感が増している。【佐井陽介】