ソフトバンクが4本塁打でオリックスとの空中戦を制し、2位楽天とのゲーム差を今季最大の2・5に広げた。5回に5年目の真砂勇介外野手(23)がプロ初安打となるダメ押しの本塁打。昨秋のU23W杯のMVPで、同僚柳田のような長打力のある右打者であることから「ミギータ」と呼ばれる男が、ついに目覚めた。チームは貯金を今季最多の31とした。

 3点リードで迎えた5回無死。真砂が、山崎福の初球の変化球を中堅右に運んだ。京都から応援に駆けつけた両親の前で、勝利を決定づける1発を見舞った。ベンチに戻ると、初回に先制2ランを放った兄貴分の柳田と熱い抱擁。胸をぶつけ合って喜んだ。

 「まだヒットが出ていなかったので、自分にプレッシャーをかけていた。打った球を覚えてないくらい興奮した。頭が真っ白で、気付いたらベンチで座っていました。素直にうれしい。両親の前でいいところが見せられてよかった」

 初回に柳田が右越え先制26号2ランを放ち、続くデスパイネも右越え23号ソロ。2回には塚田が2年ぶり、プロ2本目の左越えソロ。そしてとどめを刺したのが、プロ6打席目で飛び出した真砂の1発だった。

 柳田のような長打力が持ち味の右打者で、藤本打撃コーチが「ミギータ」と名付けた期待の若手。今年1月には柳田のグアム自主トレに同行し、超人とともに打撃練習に励んだ。「すごい選手ですし、それでも必死に練習する姿に尊敬できる」。

 だが開幕1軍はならず、右翼の座には1学年下の上林が定着した。真砂は2軍でも結果を出せず、打率が2割を切りそうになったことも。「どうしていいか分からん…」と、もがき続けた。7月に1軍に昇格すると、柳田からは「まずは1本打てよ」と激励されたといい「やっと恩を返すことができてうれしい。思わずハグしちゃいました」と、目尻を下げた。

 「パワーもあるし、足も肩もポテンシャルはすごい。全然僕よりすごいですよ」と絶賛した本家ギータは「これからご飯でも食べていろいろ(祝福したい)」。工藤監督も「本塁打が出るとチームも勢いに乗れる。特に若い人が打つとね」と、声を弾ませた。今日4日からは12連勝中の西武と敵地で戦う。経験豊富なレギュラー陣に若い力を加え、勢いに乗る強敵に挑む。【福岡吉央】

 ◆真砂勇介(まさご・ゆうすけ)1994年(平6)5月4日、京都府生まれ。向島藤の木小4年の時、向島ベースボールで捕手として野球を始める。槙島中では木津川シニアで捕手で4番。西城陽では1年秋から4番。甲子園出場なし。高校通算52本塁打。怪力で新品の金属バットをへこませたことも。12年ドラフト4位でソフトバンクへ。入団会見で「3冠王」宣言し、当時の秋山監督を驚かせた。50メートル走5秒64。184センチ、81キロ。右投げ右打ち。