阪神の自力優勝が1日で復活した。ランディ・メッセンジャー投手(35)の今季チーム初完封でヤクルトに勝ち、首位広島が敗れたため虎が生き返った。メッセンジャーは巨人菅野に並ぶリーグトップの11勝目。前日3日の広島戦で救援投手をつぎ込んでいた金本知憲監督(49)の「完投指令」に応え、今季チーム最短の2時間20分で試合を締めくくった。

 これがエースだ。ゲームセットまでマウンドに立ち続けたメッセンジャーは、誇らしげだった。祝福に訪れた女房役梅野を指さし、笑顔で抱きしめた。被安打4に抑えてリーグトップに並ぶ11勝目。今季チーム最短の2時間20分で試合を終わらせ、今季阪神では初めて1人で完封劇を演じきった。

 メッセンジャー 完封というのは先発投手として、一番いい仕事ができた証しだと思っています。いつも投げるからには最後までと思っているし、完封で誰にもマウンドを譲るつもりはなく投げている。

 最後まで投げ抜くモットーに加え、この日は男と男の約束もあった。試合前に金本監督から「リリーフが疲れているから1人で頼むぞ」と声をかけられた。これにメッセは力強く「任せてくれ!」と返したという。チームは前日3日の広島戦で延長12回を戦い抜き、リリーフ6人をつぎ込んでいた。4時間34分の死闘の末に引き分け、疲れが抜けきらない中で朝、帰阪。そのまま迎えたゲームだった。休みを与えたかったのが指揮官の心情。そうした事情をくみ取り、マウンドで約束を果たした。

 助っ人は交流戦明けの6月23日広島戦の後、中5日で先発し続けて屋台骨を支えている。ここ5試合はすべて、6回以上を投げ自責点3以内のクオリティー・スタート。この日は9つの三振を奪い、自身は4連勝とした。まさに大黒柱といえる活躍。それでも打線に感謝することを忘れない。

 メッセンジャー 勝つためには点を取ってもらわないと駄目なんで、ほんとチームメートに感謝したいと思います。

 金本監督も感謝のコメントを繰り返した。「本当に(完投)してくれた。よく約束を守ってくれた」。続けて「リリーフ陣は夏場で疲れている。秋山には明日も完投してほしい」と今日先発の右腕にも奮闘を期待した。首位広島が敗れわずか1日で自力Vが復活。可能性がある限り、虎は上を見て戦い続ける。【山川智之】

 ▼阪神○広島●の結果、阪神の自力優勝の可能性が復活した。広島が阪神との残り8試合に全敗して他球団に全勝した場合、最終成績は97勝43敗3分けで勝率6割9分3厘。阪神は残り48試合に全勝すれば99勝43敗1分けの6割9分7厘となり、広島を上回る。

 ▼阪神メッセンジャーが16年9月24日中日戦以来、通算10度目の完封勝利。外国人投手の完封10度以上は(1)郭泰源24度(2)バッキー22度(3)スタンカ18度(4)郭源治17度に次ぎ史上5人目。

 ▼今季チームの完封勝ちは6度目だが、1人で投げきっての勝利は初となった。また、長期ロード中の阪神の完封勝利投手は、13年8月2日巨人戦(東京ドーム)でのスタンリッジ以来、4年ぶり。

 ▼4日ヤクルト戦の試合時間2時間20分は今季チーム最短。5月17日中日戦(甲子園)の2時間22分を下回った。