2試合連続で二塁でスタメン出場した阪神西岡剛内野手(33)が、同点劇の突破口を開いた。0-1の8回、先頭でDeNAパットンから右翼へ二塁打を放ち、続く福留の同点適時打をお膳立てした。6回の中前打と合わせて、この日マルチ安打。7月下旬には打率が1割台に落ち込んでいたが、虎のムードメーカーは調子を取り戻しつつある。

 切り込み隊長はやっぱり西岡だった。0-1の8回。なかなか得点できない中、この回の先頭打者だった。DeNAパットンに追い込まれながら、149キロの速球に負けずに振り抜いた。鋭いライナー性の打球は右翼フェンスまで到達。悠々と二塁を奪い、チャンスを演出した。

 西岡 とにかく塁に出ることだけを考えていた。

 走者となっても積極性を失わない。次打者の福留の打球が投手を強襲し、一、二塁間を転々とするのを見ると、西岡は三塁を回ったところで再加速。一気に本塁へ生還し、試合を振り出しに戻した。

 試合の随所で、気合を表に出した。8回1死二、三塁のピンチでは、新しい打者を迎える度にマウンドの桑原に声を掛けた。ピンチをしのぐと喜びを爆発させ、仲間とハイタッチ。感情をむき出しにして戦った。

 チャンスメークの二塁打が出る前、走者を置いた1、3回の打席は、いずれも落ちる球で打ち取られていた。「1、2打席目で修正できていなかった。(打撃コーチの)片岡さんと話をして修正ができた。その(6回の)1本が8回の打席につながってくれた」。日米で15年、野球で飯を食う男は第三者の意見に真摯(しんし)に耳を傾け、福留の同点打をお膳立てした。

 試合後、片岡打撃コーチは「状態も上がってきている。ライトに打ったのもだし、その前の二遊間もそうだったし。本来の西岡の状態に戻ってきていると思うよ」と評価。7月下旬には打率が1割台に落ち込んだが、復調しつつある。

 前日11日に左アキレス腱(けん)断裂から復帰後初の二塁の守備に入り、この日で2試合連続だった。試合後、西岡は「監督も(二塁起用を)気にしながらの出場だった。もう少し頑張ってやりたい」。ほかにも一塁、外野と幅広く守る背番号5。この貪欲な姿勢でチームを引っ張っていく。【山川智之】