慎之助、最高で~す! な2000安打だ。巨人阿部慎之助内野手(38)が、史上49人目のプロ通算2000安打を達成した。残り1安打で迎えた広島20回戦(マツダスタジアム)に「4番一塁」で出場。3打席目まで無安打だったが、9回第4打席に右前打を放った。球団生え抜きでは川上、長嶋、王、柴田に続く5人目の偉業。プロ17年目での到達に、巨人ファン、そして敵地の広島ファンからも大きな拍手が送られた。

 最高の景色が目の前に広がった。9回1死、広島今村の内角寄りの136キロフォークを右前へ引っ張った。カーンと乾いた打球音を響かせ2000本目の安打を決めた。敵地マツダスタジアムで湧き起こった「慎之助コール」。新井、坂本勇から花束を受け取り、四方に深々と頭を下げた。「いつもとは違うドキドキした気持ちがあった。不思議な1日でした。本当なのかな。そんなにすごいことをやったのか。それが率直な気持ちです」と心境を明かした。

 心の振る舞いを重んじた。残り83本で迎えた今季の目標は明確だった。1月2日。東京ドームで大記録への打ち始めを敢行した。練習後に色紙に意を込めて「斬新」と記した。「今までやってきたことに寄りかかるんじゃなくて大胆に攻めたい。もっとという気持ちを大事に」。オムツをはいていた幼少期に父の草野球にくっついて朝から球場に行った。「ベンチでみんなが遊んでくれるから」と野球にのめり込むきっかけになった。当時、抱いた好奇心、探求心は色あせない。

 同時に年輪も重ねてきた。色紙を裏返し、ペンを走らす。「残心」。子どもが埋めるタイムカプセルのように。達成後の自分へ記した。「目標に到達した後が大事。攻めた直後がね。心の構えを保つ。また新しい目標に向かって行くから」。第1志望の高校入試に失敗した。第2志望の安田学園に進んだ。米在住の親戚を頼りに野球留学も考えた。結果が出た後、どうするか。方法論は変わらない。