ロッテ加藤は腹をくくった。3-4の9回2死一、二塁。「増井さんは直球もフォークも一級品。どっちもは打てない」。カウント3-1で有利となり、直球に絞った。狙い的中。低め150キロを振り抜き、ロッテファンが待つ右翼席へ放り込んだ。土壇場の一振りで、3連勝をもたらした。

 「勝手にバイブルにしています」と、打撃の手本にしている人がいる。2連覇目前の広島で活躍する安部だ。今年2月の練習試合でのこと。伊東監督に「よく見ておけ。ああいう風に打たなきゃダメだ」と示されたのが、安部だった。8月15日の日刊スポーツに安部の連続写真が掲載された。「無駄がないシンプルな動き。やっぱり、安部さんはすごい」と見入った。紙面は大事に取ってある。

 広島と違い、チームは最下位に沈む。だが、加藤は5年目を迎え、上昇カーブを描く。4号本塁打は自己最多。何より、退任する伊東監督の札幌ラストゲームを飾れたことがうれしかった。「5年間、怒られることの方が多かった。恩返しには、少しでも成長しないといけません」と改めて誓った。伊東監督は「粘って打ってくれた。十分、来年につながる」と、うれしそうに話した。【古川真弥】