阪神高山が159打席ぶりの6号ソロでCS戦力を猛アピールした。無得点に抑えられて迎えた7回1死。代打で登場すると、三上が投じた初球の外角速球に逆らうことなく振り切った。左翼席の最前列にスタンドイン。故郷千葉で行われた6月1日ロッテ戦以来、実に4カ月ぶりの1発がこの日のチーム初得点となった。だが久々の快音だったが白い歯はこぼさず、試合後もコメントはなかった。

 昨年は新人王を獲得する大活躍だったが、2年目の今季は大不振で、8月にプロ入り初の2軍落ちを味わった。その時、マンツーマンで指導してくれたのが掛布2軍監督だった。本来の間で打てるようにと教えを受け、「タイミングの取り方がよくなっているね」と後押ししてもらった。その2軍監督は前日退任。感謝を込めた恩返し弾だった。

 金本監督は「振り遅れが、たまたま…」と苦笑い。「でも、それで何かつかんでくれたらいいけど。きっかけになってくれたら」とポテンシャルを高く評価しているだけに、1日も早い完全復調を願った。

 現在の起用は、CSでの戦力テスト的な意味合いもある。苦しみながらも、結果は出始めている。CSでは今季の借りを返す、大暴れを期待したい。【山川智之】