DeNAが2年連続クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。アレックス・ラミレス監督(42)の信念に基づいた采配が次々とはまり、今季最多の1試合5本塁打を含む15安打13得点で広島を13-7で破った。

 2年連続3位のDeNAは、リーグ連覇の広島とともにセ・リーグの勢力地図を塗り替えた。脂が乗っている主力の地力に加え、フロントの眼力に先見の明があり、強さを支えている。

 中軸に3割30発100打点のロペス。先発の軸に、球団外国人投手史上初の2桁10勝をクリアしたウィーランド。ブルペンの軸である8回には、62試合登板のパットンがいる。チームの要所に3人の助っ人を備え、年間通して機能したチームは、資金力のあるソフトバンクと巨人しか見当たらない。

 国際担当スカウトに、セを熟知した人材を配している。12年から同職のルイス・ロペス氏(53)は96、97年に広島で打点王を獲得。阪神で通算12勝を挙げたグレッグ・ハンセル氏(46)を加えて投手部門も厚くし、目利きの精度を高めた。

 スカウトの目も光る。14年のドラフト1位が山崎康で2位が石田。15年1位が今永。16年1位は浜口。上位指名の即戦力投手がことごとく的中しているだけでなく、3位以下で指名した桑原、倉本、戸柱、柴田がセンターラインのレギュラーに定着している。トレード、FA移籍が活発でない日本球界でドラフトが最高の補強戦略であることを熟知し、育成方針にも工夫がある。

 ドラフト7位の高卒3年目・飯塚が夏場に先発ローテ入りし、苦しい投手陣を助けた。大型右腕の将来性を認め、1年目からファーム戦でイニング数を積ませる特別強化を徹底し、芽吹かせた。今季もドラフト4位の京山に2軍戦チーム2位となる91イニングを投げさせ、同5位の細川には、チームトップの113試合、431打席を与えた。

 外国人を絶対に外さずチームの軸に据え、主力の年齢が上がってくる前にエースと大砲候補を鍛え上げる。少し先を見据えたクールな眼力が結実しつつある。【宮下敬至】

 ▼DeNAが3位を決め、セ・リーグは全順位が確定。広島、阪神、DeNAがAクラスに入ったが、リーグの上位3チームがこの組み合わせとなったのは初めて。これで現6球団のAクラスに入った回数は、巨人60、中日46、阪神38、広島24、ヤクルト19、DeNA17。回数の多い巨人、中日がともに4位以下となるのは、97年(巨人4位、中日6位)以来2度目。