阪神が国内フリーエージェント(FA)権を保持する西武野上亮磨投手(30)の調査を開始していたことが21日、分かった。球団は今オフの補強ポイントとして先発投手を挙げており、働き盛りの今季11勝右腕はターゲットとして申し分ない存在。FA権を行使した場合に備え、慎重に調査を進めていく。

 13年ぶりのV奪回へ、阪神フロント陣は休みなく動き続けている。虎が水面下で今季11勝右腕、西武野上の調査を開始していたことが判明した。野上は昨季初取得した国内FA権を保持しており、今オフの権利行使も視野に入れているとみられる。FA宣言した場合に備え、慎重に動向を追っていくことになりそうだ。

 CSファーストステージで敗退した翌日の18日、四藤球団社長は坂井オーナーへのシーズン終了報告後に「今日はたとえば先発投手とかの話が出ていましたね。トータルで見て、そこがひとつの補強ポイントになってくるのかなという話が、やりとりの中ではありました」と明かしていた。

 今季は大黒柱メッセンジャーが右足腓骨(ひこつ)骨折で離脱した8月以降、首脳陣は先発ローテ陣のやりくりに苦心した。若きエースと呼ばれるべき藤浪は制球難から2軍暮らしが長引き、昨季ブレークした岩貞も不振続き。1年間ローテを守り抜いたのは秋山、能見の2人だけという状況も踏まえ、球団はオフの先発補強に前向きな姿勢を見せている。

 もちろん、10月26日のドラフト会議に向けて即戦力投手もリストアップしているが、FA権を保持する投手の調査も同時に進めているもよう。野上は今季自己最多タイの11勝をあげ、菊池とともに1年間先発ローテを守りきった。働き盛りで脂が乗っている30歳に虎が注目するのは、必然の流れともいえる。

 野上はプロ10年目を迎える来季に向けて、他球団の評価を聞いてみたいという気持ちがあるとみられている。一方で育ててもらった西武への愛着もあり、残留も選択肢に入っているもようだ。まずはFA権を行使するのか否か、野上の動向に注視しながら、水面下で調査を続けていく。

 ◆野上亮磨(のがみ・りょうま)1987年(昭62)6月15日、福岡県生まれ。神村学園で05年センバツ準優勝。日産自動車を経て08年ドラフト2位で西武入団。12年シーズン中盤からローテーションに加わり、13年に自身初の2桁勝利となる11勝。今季年俸は5000万円(推定)。16年に国内FA権を取得した。177センチ、74キロ。右投げ右打ち。