巨人坂本勇人内野手(28)が来年1月の自主トレを昨年ドラフト1位の吉川尚輝内野手(22)と実施することが3日、分かった。1年目オフの08年1月には阿部の自主トレに参加し、技術だけでなく、巨人の主軸としての立ち居振る舞いや心構えを学んだ。主将4年目で迎える来季に向け、飛躍が期待される正二塁手候補の吉川尚に「巨人の帝王学」を伝授する。

 期待の若武者に、主将が手を差し伸べる。坂本勇は来年1月の自主トレを、吉川尚と辻と実施すると決めた。1年目の吉川尚とオフの鍛錬をともにするのはもちろん初めて。「期待されて巨人に入ってきているので、技術も大事ですけど、考え方とかを教えるだけで変わると思う」と自主トレに誘った理由を説明した。

 自身の“成功体験”を伝えたい思いがある。1安打で終わったプロ1年目のオフに、当時の主将の阿部にグアム自主トレ参加を誘われた。練習以外にも、食事など多くの時間を共有し、巨人の看板を背負う姿を近くで見続けた。その背中を道しるべに鍛錬を重ね、定位置奪取につなげた。

 当時の坂本勇のように、吉川尚も近未来の巨人を背負うことを望まれている。今季はけがによる出遅れもあって出場5試合も、10月3日のヤクルトとの最終戦ではプロ初安打を含む3安打1盗塁と、能力の高さを示した。現在は宮崎での秋季キャンプで猛練習中。高橋監督からも「守備なんかでも動きはいいし、打つのもね。1つでも2つでもレベルが上がって、来年につながればいいと思います」と期待されている。

 坂本勇は「自分も1年目に阿部さんに連れて行っていただいて勉強になったので」と、阿部のように、自主トレ期間中は全てをさらけ出すつもりだ。吉川尚は「自分は全てにレベルアップしなければいけないので、学べるところを全て学んでいきたいです」と主将の思いを受け止めた。4年ぶりのV奪還を目指す来季。「サカヨシ」の二遊間コンビ結成が待望される後輩に、坂本勇が「巨人の星」となるための心得を継承する。

 ◆坂本勇の自主トレ リーグワーストタイの18失策を犯して迎えた12年1月には、ヤクルト宮本に寺内とともに弟子入り。愛媛・松山で1週間、寝食を共にした。ボールへの入り方や足の使い方など、守備の基本技術を徹底的に指導され、守備力向上につなげた。グアムでの自主トレは08年に阿部に誘ってもらい開始。16年から阿部が離れ、村田、長野らと行い、2年目の岡本も参加した。