主力の自覚だ。広島安部友裕内野手(28)が14日、広島市内のマツダスタジアムで契約を更改。2500万円アップとなる年俸4600万円(金額は推定)でサインした。今季は三塁のレギュラーをつかみ、初めて規定打席にも到達。来季は背番号も60から6に変更になる。主力の自覚をにじませ、全試合出場と初のゴールデングラブ賞を目標に掲げた。

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 笑顔の少ない会見。安部はすでに気持ちを来季に向けていた。2500万円アップの推定年俸4600万円でサインし「安部がいてくれてよかったという言葉をもらってすごくうれしかった。またスカッとした1年にしたい。全試合出場が目標。誰もとれないと思っているところで、ゴールデングラブをとりたい」と淡々と口にした。キャリアハイの1年にも、表情が緩むことはなかった。

 プロ10年目で初めて規定打席に到達。123試合に出場しリーグ4位の打率3割1分をマークした。「レギュラーを完全に勝ち取ったわけではないけど、いろんな方々に支えられてこういう数字が残せた」と自己評価。だがすぐに「手応えがないわけではないけど、課題も多いし、まだまだやるべきことがある」と反省材料に目を向けた。

 全試合出場は完全なレギュラーの証しだ。最重要課題は対右投手の打率3割3分4厘に対して打率2割3分8厘と苦心した対左投手。「左投手に対して逆方向にしっかり低く強い打球を打っていくこと」を意識する。今季は腰痛や死球による離脱もあった。「死球は不慮と言えば不慮。でもあの程度で離脱しているようでは体も弱い」とさらなるパワーアップを誓った。

 来季は背番号も60から6に変わる。“出世”に浮かれることはなく「球団からそういう評価をいただいたので、プレー以外のところでの責任、自覚も問われる。言動、行動。そういうのを見せないといけない」と気を引き締めた。オフは「メンタルが弱い。それに後悔したくないから」と「覇気」と並ぶ座右の銘の「人生1回」を地で行き、野球選手以外のスポーツ選手、財界、起業家とも交流を深めて勉強する予定。チームを引っ張る存在に安部がなる。【池本泰尚】