日本ハムドラフト1位の早実・清宮幸太郎内野手(18)が、いよいよプロの世界に飛び込む。高校通算111本塁打を放つなどアマ球界の話題を独占し、昨秋のプロ野球ドラフト会議では7球団から1位指名。目標は高校の先輩、ソフトバンク王球団会長が作った通算868本塁打の日本記録更新。入れ替わるようにメジャーに旅立つ大谷が残した「道しるべ」を意識しつつ「唯一無二の存在」に挑む。【取材・構成=中島宙恵】

 清宮が憧れ続けたプロの入り口に、間もなく立つ。幼い頃から注目を浴び、中1時には世界大会で優勝。特大弾を放って米メディアに「和製ベーブ・ルース」と評されたアマ球界の怪物スラッガーにだって、多少の不安はある。「打席に入って、プロの球を見て、自分がどう感じるか。もしかしたら、到底及ばないと思うかもしれないし、意外といけるなと思うかもしれないし」。中学時代には、すでに練習で木製バットを使用していた。それでも「試行錯誤しながら、早く木のバットに慣れたい」。今月9日から始まる新人合同自主トレ、その先の春季キャンプへ向け、今は準備に余念がない。

 「やるからには1番がいい」と王氏の本塁打記録更新に意欲を燃やす一方で、目標の選手は「いない」という。「唯一無二の存在でいたい。誰も追い付けないプレーヤーになりたい」と思うからだ。名選手には、それぞれに良さがある。「大谷さんなら二刀流だったり、球の速さ。僕はバッターなので、飛距離や本塁打数、打率など、いろいろな面で『清宮にしかできない』ということができれば」。目指すのは球界のオンリーワンだ。

 昨年末に米大リーグ、エンゼルスへ移籍が決まった日本ハム前エース大谷と同じように、プロ入り前からメジャー志向を公言してきた。エンゼル・スタジアムを訪れた経験があり、テレビで大谷の入団会見を見た瞬間「行ったことのある場所だ」と、胸が弾んだ。夢見てきた世界が、ぐっと身近になった気がした。「道しるべになった。いずれは自分もあんなふうになれたら」。思いは、より強くなった。

 今年の目標は「できることなら、ずっと1軍にいて、チームの日本一に貢献したい」と迷いがない。高校時代は届かなかった日本一。個人タイトルより、渇望するのは勝利だ。「栗山監督は『年齢に関係なく力のあるヤツの助けを借りていく』とおっしゃっていた。野球は勝ってナンボですから」。過去に始球式をしたことがある日本ハムに入団が決まったのも運命的。間もなく「清宮伝説」の幕が開く。