戌(いぬ)年の今年が年男の阪神藤浪晋太郎投手(23)が激白した。今季の復活はもちろん、来季も活躍して20年の東京五輪に出場したいという意気込みを熱く語った。

 藤浪にとって、昨季は間違いなくプロ人生でもっとも苦悩した1年だった。

 「楽しくはないですよね、成績が良くないと(苦笑い)。でも、それは仕方がない部分でもあるので。もちろん悔しい気持ちにもなったけど、今年を見ておいてください、という気持ちです」

 決して無駄な1年にはしない。そんな思いは強い。2軍でもがいた日々、オフに勉強し続けた知識は、必ず糧にするつもりだ。

 「いい経験と言えるようにしたいし、実際にそうだと思っています。今まで、自分のために期間を取って練習する時期はあまりなかったので。フォーム的に悪いところを直そうとできた時間は新鮮でした。今まではそこに立ち返っていれば大丈夫だと思っていたところで、(去年は)いい風にならないことの繰り返しだった。これからは新しい、安定して立ち返れる場所を…。今までだったら、感覚的にこういう体の使い方をすればこう戻ってくるという感じだったのが、(今後は)足の裏がこう使えていないから安定しないとか、立ち返る部分がより深くなるのかなとは思います」

 目指す方向は「復活」というよりは「進化」になるだろう。フォームにしても「新しいモノを入れる部分もあれば、今までしっかり使えていたものを、もう1度使えるようにする、というところもある」。長い野球人生の分岐点。藤浪は懸命にはい上がろうとしている。

 2年後の2020年には東京五輪が待っている。12月には金本監督が藤浪の五輪行きに期待をかけていたが、本人は侍ジャパンメンバー復帰に向けては冷静だ。

 「今年みたいな成績だったら選ばれない。しっかりやれば選んでもらえる可能性があるんじゃないか、とは思います。ただ、五輪に出るために頑張る、というよりも、普通に成績を出したら選んでもらえた、と。頑張った結果として、選ばれたいですね。国際大会はなかなかあるものじゃないし、特に東京で五輪が行われるのはプレーヤーとしてはもうないだろうし。そういう意味では出てみたい、というのはあります。まずは目の前の1年1年を頑張れば、選んでもらえるんじゃないかなと思っています」

 まずは目の前のハードルを1つ1つクリアしていく。地道な戦いが始まる。【佐井陽介】