次なる戦いへ-。広島2軍が5日、第2クールからのキャンプ地の宮崎・日南市入りした。胃がんから復帰を目指す赤松真人外野手(35)も、2年ぶりに日南入り。基礎練習が主の第1クールから第2クールは実戦形式の練習が増え、チーム内の競争も幕を開ける。ブランクのある赤松にとって、新たな関門が待ち受ける。不安を抱えながらも、1軍昇格を目指し、前例のない闘いに挑んでいく。

 胃がんからの復帰を目指す赤松が、宮崎・日南市入りした。山口・岩国市と広島・廿日市市での第1クールでは術後初めて全メニューに参加。ノックでは軽快に動き、全体練習後の特打では振り込んだ。チームメートを笑わせる持ち前の明るさで盛り上げ役ともなり、笑顔で4日間を駆け抜けた。

 「楽しかった。でも、楽しいだけじゃいけない。楽しい(感覚)というのがなくなってから、ようやく体も心も試合に入っていけると思う。プロ野球選手で楽しいと思っている人はいないので、まだまだなのかもしれない」

 昨年1月の胃がん摘出手術から抗がん剤治療、リハビリなどを乗り越え、2年ぶりに春季キャンプ参加を果たした。術後は体重が増えず、食事の量も増えない。不安もつきまとうだけに、第1クールでは野球ができる喜びをかみしめた。「(1年前は)気力、体力ともにすごく落ち込んでいた。こうやってみんなとやれていることは想像できなかったので、すごく幸せな気持ち」。気持ちを高ぶらせ、2年ぶりに日南の地に降り立った。

 大きな前進も、グラウンドに立つことがゴールではない。「最終的な目標は、走塁や守備で1軍に貢献をして3連覇。ただ、まずやらないといけない目標がある。2軍で結果を残せる体力、技術ともにつけていかないと、1軍ではプレーできない」。今後は運動量だけでなく、シートノックやシート打撃など実戦形式の練習も増える。今月中旬には対外試合も予定されている。

 段階が上がれば、また新たな課題に直面するかもしれない。だが、赤松は「(試合に)出られるか出られないかは監督、首脳陣の判断。練習で満足する野球選手がいないように、ここで満足できない」と一昨年の日本シリーズ以来の実戦出場に意欲を燃やす。日南の地でも、力強い1歩を踏み出していく。【前原淳】