ゴジラをも恐れぬ男だ。巨人畠世周投手(23)が宮崎キャンプ第2クール2日目の7日、ブルペンで70球を投げ込み、臨時コーチの松井秀喜氏(43)が途中から打席に立った。松井氏への31球中17球が内角への直球で、同氏が思わず腰を引いて逃げるほどだった。昨季はDeNA筒香も内角攻めで攻略するなど強心臓を発揮。キャンプ初日から休みを挟み6日連続でブルペン入りするなど開幕ローテ入りへアピールを続ける。

 ゴジラをびびらせた。畠が投じた11球目の直球。左打席に立った松井臨時コーチの腰元へうなりをあげるように襲いかかった。引退したとはいえ日本を代表するスラッガーが思わず「おっ!」と声を上げて腰を大きく引いて逃げた。投じた31球中17球が内角球。物おじしない持ち味を披露し「内角を攻めきれないと通用しない。こういう時期に、こういう練習が出来て、良い経験が出来た」と喜んだ。

 強心臓がチームの力になる。昨季は7月以降からローテ入り。6勝4敗、防御率2・99で後半戦の投手陣を支えた。強気の内角攻めは侍ジャパンの4番DeNA筒香にも通用。8打数1安打5奪三振、打率1割2分5厘と抑え込んだ。キャンプ前にも「壁にぶち当たるまで攻めていきたい。日本の4番を攻めて三振を取れたのは自信になった」と話し、内角を生命線に今季も闘うと意気込んだ。

 この日も立ち向かっていった。前日6日に高橋監督にうながされ、松井氏に打席に立ってもらうことをお願い。日米通算507本塁打の大打者とブルペンで相対すると「間合いがあって、あ、打たれるというピッチャーの感覚があった」と一流のオーラを感じた。それでも最後の31球目は内角への投球を自ら要求。「最後は攻めようという気持ち。緊張感を持った中でできるかなと、変えさせてもらった」と挑んだ。

 先輩も認めるずぶとさがある。同時にマウンドにいた菅野は「自分が2年目の時には(自ら立ってと)言えなかった。さすが畠。周りの若手も見習ってほしい」と積極性と臆さない性格があると言った。また松井氏も「ストレートに力があるなと思った。ぶつかると思わなかったが、いいコントロールをしている」と投げ込む姿を評価した。

 ちなみに畠の恐れるモノは「昔の先輩です。ファンキーな人がいた」。侍の4番も伝説的な4番も恐れないマウンド度胸で、開幕ローテをつかむ。【島根純】