1回裏途中で降雨ノーゲームとなった一戦で、全身で引っ張った強い打球が、一、二塁間に飛んだ。キャンプを通じて初実戦の第1打席で、阪神福留がみせた。1回2死で打席に立ち、左腕の中日ガルシアと対峙(たいじ)。ゆったりした間合いで、引きつけて打ち返した。中日の一塁ビシエドの横っ跳び好守に阻まれて一直に終わるも、快音に順調な仕上がりを裏付けた。

 敵が投じる生きた球。久々の対戦のなかで、円熟の技術が光った。初球ボールの後、ファウル、見逃しで3球で追い込まれた。4球目の直球を平然と見逃し、5球目の低め132キロの変化球にはぴくりと動いてバットを止めた。6球目。外角の146キロにファウルで対応。タイミングが差し込まれてもかわす技術だ。そして7球目の甘く入った146キロを、しっかりとらえた。

 新外国人との7球の勝負。福留は「雨だね~」としか語らなかったが、金本監督は「初物の左腕でちょっと難しかったと思うけど、芯でとらえているから。去年より振れていると思うよ」と貫禄を感じ取っていた。今後も実戦に出場し、段階を踏んでいく。今季も主将は頼もしい。【池本泰尚】