中日松坂大輔投手(37)が開幕ローテ入りに前進した。楽天戦でナゴヤドーム初登板。2度目の実戦で初めて先発し、アマダーに失投を2ランされたものの、2回2失点で投げきった。直球は中日移籍後最速の144キロをマーク。他の選手より2時間以上遅い午前11時過ぎに球場入りし、試合開始から逆算して1度で体を仕上げるメジャー流の調整法で臨んだ。順調にいけば、4月3日からの本拠地開幕カード巨人戦での登板も現実味を帯びてくる。

 松坂は少し笑みを浮かべてマウンドを降りた。2回、最後の打者はソフトバンク時代の後輩、山下斐紹(あやつぐ)。試合直前に会話を交わすなど、よく知った間柄だ。2球見逃しで追い込み、3球目はこの日初めてのチェンジアップで腰砕けの空振り。「向こうは直球を待っていたと思うけど、全部変化球でした」と、いたずらっぽく笑った。

 登板前にベンチに出ると客席がほぼ埋まっていた。場内を見わたし「公式戦さながらだな」と思った。マウンドに上がると、1球投げるたびに観客の拍手とため息が響いた。森監督が「こういうのは久しぶりだった」と話すほど、背番号99に視線が集中。松坂自身も「オープン戦だけど、久しぶりにこういう雰囲気で投げさせてもらったのが一番よかった」と本拠地デビューを振り返った。

 この日は他の選手より2時間以上遅い午前11時過ぎに球場入り。試合開始から逆算して1度のアップで体を仕上げるメジャー流の調整法でマウンドへ向かった。

 初回ペゲーロに10球を投げ、スライダーで詰まらせた。銀次もカット気味の直球で詰まらせ、3者凡退の好スタート。2回は今江に右前打を浴び、2死三塁からアマダーに高めのスライダーを右中間席まで運ばれた。31球のうち、明らかな失投はこの2球だけ。中日入団後最速の144キロをマークし、平均で140キロを超えた。「カウントが悪くてもいいところに投げられた。四球を出さなかったので」と納得の内容だった。

 「今は不安なくやらせてもらっている。開幕となるとどうか分からないけど、このペースでいって大丈夫かと思う」と順調さを口にした。次回は14日西武戦(ナゴヤドーム)が濃厚。23日からのロッテ3連戦(同)に向かう。最短なら、4月3日からの本拠地開幕カード、巨人戦も視野に入る。首脳陣は開幕時にこだわらせない構えだが、第1週のローテ入りも現実味を帯びてきた。期待が自信になり、確信に変わる日が来るかもしれない。そう思わせる31球だった。【柏原誠】