頼むぞ、驚弾デビュー! 阪神新外国人のウィリン・ロサリオ内野手(29=韓国・ハンファ)が、きょう6日のDeNA戦で甲子園に初見参する。4番一塁での出場が濃厚だ。5日は甲子園室内で1時間に及ぶ志願の居残り特打を行ったばかりか、30分の特守も受けるなど、愛称「トロ」の闘牛は荒ブル思いを隠さなかった。期待のスラッガーが本拠地で最高のデモンストレーションを見せるか? 注目の1日になる。

 外から激しい雨音が聞こえる。福岡遠征帰りのロサリオは、軽めの調整とは無縁だった。室内練習場にこもった。フリー打撃を終えると、引き揚げることなく、打撃マシンの前に立った。黙々と打ち続ける。白球が無数に転がり、バットを置いたのは1時間後。キャプテン福留と話し込む姿もあった。報道陣が取材準備に入るが、それでも練習を止めない。今度はファーストミットを手に、ノックを受けた。ノッカーを務めた高代作戦兼総合コーチは言った。「本人の希望よ。チェックするところはいろいろあるからね」。志願の居残り特守&特打だった。

 今日6日の甲子園デビューへ、高ぶる気持ちを抑えられなかったのか。それとも、当たり前のハードワークか。いずれにせよ、虎党の期待は膨らむ一方だ。春季キャンプのフリー打撃では、推定170メートル弾を放つなど驚異的な飛距離を披露した。右打者に有利とされる本拠地でパワーを発揮できれば、リーグ制覇の確率は増す。来日直後の球場視察では「そこまで(広さは)感じないよ」と言い放ったが、その言葉も今は強がりに聞こえない。DeNAは、2月11日の練習試合第1打席で、飯塚から強烈な2ランをぶちかまして鮮烈な対外試合デビューを飾った相手。再びラミレス監督を驚かす期待も高まる。

 韓国球界では2年連続3割30本100打点という圧倒的な成績を収めた。鳴り物入りでタテジマに袖を通したが、現状に甘んじることはない。ハンファ時代と同様、日本でも猛練習で体を鍛える。金本監督は「志願じゃないの? こっちからやらせることはない」とした上で、「自分に不安があったりするんじゃないかな。厳しい韓国時代を過ごしているから(笑い)」と貪欲な姿勢に目を細めた。

 特守を終えたロサリオは大粒の汗を流しながら、室内練習場の階段を上った。鬼気迫る表情を崩さない。「まだ練習があるので…」。通訳が報道陣の問いかけを制した。そしてクラブハウスへと消えていった。キャンプが終わっても、助っ人では異例のハードワークが続く。これから甲子園で何本のアーチを描いてくれるのか。チームも18年初の甲子園。名刺代わりの1発に、乞うご期待だ!【田口真一郎】