広島が93年以来、25年ぶりの開幕4連勝を飾った。先発した薮田和樹投手(25)はプロ入りワーストの6与四球と開幕前から抱える制球面の課題を残したが、何とか5回3失点。打線の援護もあり、幸運な1勝目を挙げた。カード初戦の大事な「火曜日の男」を任された昨季の最高勝率右腕が、ここから状態を上げていく。

 薮田がドタバタ劇を展開しながら、5回3失点で粘り込んだ。相手の拙攻に救われた部分もあった。

 「オープン戦ここ何試合か良くなかったので、不安が大きかった。反省点は要所での四球。あとは変化球でカウントが取れれば、もっといい投球が出来ると思うので、これを次につなげていきたい」

 2点の先制点をもらってのスタートながら、不安定な投球が続いた。1回は2死一塁から青木に対し、引っ掛けた直球が右肩を直撃する死球を与えた。メジャー帰りのベテランにとって復帰後の本拠地初戦。歓迎ムードの神宮に、いきなり不穏な空気が漂った。

 その後は西川の適時失策でまず1失点。3回は先頭の与四球からバレンティンに逆転2ランを許した。以降は、開幕前からあった突然の制球難が顕著になり、5回は3四球を与えた。この回を投げ終えるまで112球。6回に打線が逆転して勝利投手の権利が転がり込み、バトンを一岡に託した。6四球、7四死球ともプロ入りワースト。6連戦の初戦にあたる「火曜日の男」としては、不本意な降板となった。

 オープン戦は4試合で防御率5点以上。2軍戦での最終調整も6回7失点と崩れた。ブルペンでは課題のクイックモーションからの投球を懸命に修正。「もう1回、初心に戻って。ダメなら出直すくらいの覚悟を持っている」。昨年の最高勝率投手のプライドもかなぐり捨て、必死で結果を求める姿勢を示した。

 収穫もあった。投球の軸になる直球には勢いが戻っていた。「オープン戦ここ何試合か真っすぐが悪かったが、そこは修正が出来たので、ボール自体は悪くはなかった。セットポジションからも今までより兆しが見えた。次に向けていい形でつなげていきたい」。真っ暗だったトンネルに光が差し込んだ。何より白星が、最高の良薬になるはずだ。【大池和幸】