北東北大学野球が21日、開幕する。富士大(岩手)の「佐藤兄弟」がリーグタイ記録の9連覇に導く。兄の龍世内野手(4年=北海)は勝負強い打撃が売りで、今秋のドラフト候補。弟の大雅捕手(北海)は1年生ながら強肩強打に定評がある実力者で、兄弟での開幕スタメンも夢ではない。2月の平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)スピードスケート女子団体追い抜き金メダルの佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)はいとこ。2人の“金メダル”級の活躍で、連覇更新に導く。

 燃えないわけがない。金メダルを獲得した綾乃に続く。龍世は同い年のいとこの奮闘から、刺激を受けまくっていた。当日は大学内で大雅とテレビ観戦。悲願を達成した瞬間、2人は両手を広げて何度もガッツポーズを繰り出し、喜びを爆発させた。龍世は2月の興奮を回想しつつ、今週から始まる激闘に目を向けていた。

 龍世 自分にとっての金メダルは優勝、連覇、大学日本一、そして夢のプロ入り。全国で勝てないまま、プロには行けない。やるしかない。

 今年は副主将として「4番三塁」で臨む。長打力に加え、勝負強さがドラフト候補に挙がる理由だ。昨秋の明治神宮大会出場を決める東北地区代表決定戦、東北福祉大(仙台6大学)との準決勝。延長タイブレークの末、計7球のファウルの後に決勝打を放ち試合を決めた。だが現状には満足しておらず「まだ粗削り。もっと振り込めば、ミスショットが減って打率は上がっていく」。3月の沖縄キャンプでは徹底的にバットを振って、本番を迎える。

 1年限りの強力デュオが結成される。弟の大雅が兄の背中を追って、北海道から岩手の地にやってきた。すでにオープン戦に同行して実戦経験を積んでおり、兄弟で開幕スタメンも夢ではない。「高校では入れ違いで、弟と一緒にやるのは大学での1年間が最初で最後。絶対に優勝したい。まずは9連覇から」。綾乃の金メダルを追い風に、「佐藤兄弟」が北東北で旋風を巻き起こす。【高橋洋平】