大谷から絶賛された19歳右腕がプロ初セーブを挙げた。オリックスの高卒2年目の山本由伸投手が、4-2の9回に代役ストッパーで登場。首位西武の主軸、4番山川と6番メヒアから2三振の快投で3者凡退に抑えた。昨年9月の日本ハム戦で大谷を空振り三振に封じた大物キラー。阪急の復刻ユニホームを着用したオリックスに、新たな勇者が誕生した。

 一塁側ベンチから飛び出した代役ストッパーに球場がざわついた。高卒2年目の山本がマウンドに上がる。2点リードの9回表、西武の先頭打者は4番山川。ひるむどころか、胸は高鳴った。「(相手の)勢いに負けず、投げよう。受け身になることはない。新しい気持ち、新しい感覚ばかりで楽しかった」。2球目に最速154キロを計測。追い込むと、最後は148キロのカットボールで空振り三振。続く外崎を遊ゴロに抑え、メヒアのバットはフォークで空を切らせた。強力打線を11球で手玉に取り、プロ初セーブを記録した。

 潜在能力の高さが福良監督に大胆采配をふるわせた。前日まで守護神増井が3連投。「休ませることはゲーム前から決めていた」。試合前の練習で増井に休養を通達。同時に代役に山本の起用を迷わなかった。「由伸ならいけるというのがあった。堂々としていた」。ルーキーだった昨年は8月に先発でプロ初勝利を記録。今季は開幕1週間前まで先発ローテーションに組み込むかで悩んだ「秘蔵っ子」の快投で逃げ切った。

 昨年9月の日本ハム戦ではエンゼルスに移籍した大谷から空振り三振を奪い「今年やった中で一番よかった」と称賛された。プロ2年目で早くも初勝利、初ホールド、初セーブを記録した。ウイニングボールを手に「宝物です」と照れた。「この経験を生かしていくべきだと思う」。開幕3連敗の西武に今季初白星。若き右腕がスタートダッシュに失敗したオリックスを引っ張る。【田口真一郎】