虎のゴジラが火を噴いた。この日、今季初昇格した阪神陽川尚将内野手(26)が、今季初アーチを含む2安打4打点と気を吐いた。

 「結果にこだわってやっている。少ないチャンスなので、1打席1打席で集中していかないといけない」

 7点を追う8回1死一塁。4球目の外角134キロスライダーをうまくバットに乗せた。「結果を出していかないと(1軍に)残れないので。どんな点差でも打席を無駄にせず、集中してやっていくだけです」。気持ちを込めて描いた1号2ランで、敗戦の中で虎党を沸かせた。

 前日2日にはタマスタ筑後での2軍ソフトバンク戦に出場。福岡から埼玉への大移動も苦にせず、今季初昇格にハツラツとした姿を見せた。16年から2年連続ウエスタン・リーグで本塁打、打点の2冠に輝いたが、1軍では思うような結果が出せなかった。「どうしてもバットが外回りになってしまう。コンパクトさを意識して振っている」。休日にも鳴尾浜の室内練習場で1人マシン打撃を続け、納得いくまでバットを振り込んだ。「音も響くので、状態を確認しやすい」。一定のリズムで奏でる打球音で、自らの調子を高めていった。

 今季2軍戦では43試合に出場して打率2割2分4厘。4本塁打で25打点。昇格前には浜中2軍打撃コーチが「タイミングは合ってきた。あとは自信を持って振るだけ」と背中を押していたように、この日のフリー打撃でも快音を連発。勢いそのまま、昇格即スタメンでプロ入り初の4打点と結果を残した。

 金本監督は「4打点を挙げてくれて、少ないチャンスでしたけどね。ちゃんと結果をだしてくれたので」と評価。ロサリオが不振で降格した中、背番号55が存在感を示した。【真柴健】