いざ決戦-。全日本大学野球選手権が11日から神宮と東京ドームで開幕し、11日に東北勢3チームが初戦を迎える。

 9連覇を達成した富士大(岩手・北東北)はエース右腕の村上英(4年=宇都宮南)が4勝をマーク。東北福祉大(仙台6大学)は1年生右腕の椋木蓮(高川学園)が抑えを務める。東日本国際大(福島・南東北)の2年生4番斎田海斗外野手(仙台育英)が今春は打点と本塁打の2冠王となった。3チームの主力選手を特集する。

 先発、中継ぎ、抑え、どこでも投げます! 椋木は、入学直後からフル回転の活躍で、2季ぶりのリーグ制覇に貢献した。全11戦中、8試合に登板し、3勝0敗。右スリークオーターから最速147キロの直球と抜群の制球力で、計17回8安打14奪三振1死球と完璧な内容だった。圧巻は防御率0・00。「正直、ベンチに入れるとも思っていなかったですし、結果が出たのは1球1球に集中して投げたからだと思う。自分も神宮で投げたい気持ちでいっぱいです」と意気込んだ。

 チーム開幕となった4月14日の東北工大戦に抑えでデビュー。2/3回を140キロ台を連発して周囲を驚かせた。同30日の東北大戦では3回とイニングを伸ばし、5月6日の仙台大との大一番では先発も任された。同12日にはエース左腕の山野太一(2年=高川学園)をリリーフし、3回をピシャリ。胴上げ投手にもなった。大塚光二監督(50)からは「ムック」の愛称で呼ばれ「将来の福祉大を支えてくれる投手。球の勢いだけでなく、四球を出すイメージすらできない」と絶大な信頼を得ている。

 まだまだ伸びしろもある。リーグ戦中には「タイミングをずらしてストライクのとれるチェンジアップのような球が投げたかった」と約1週間で新球を習得。フォークの握りで縦回転をかける「ムーク」と名付け、投球の幅は広がった。全国舞台で、さらに大暴れするつもりだ。【鎌田直秀】

 ◆椋木蓮(むくのき・れん)2000年(平12)1月22日、山口・山陽小野田市生まれ。本山小1年から本山ベアーズで野球を始め、高川学園中では硬式野球部に所属。同校で高2春からベンチ入りし、同夏は1学年上の山野らと甲子園出場。同秋からエース。179センチ、71キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄、妹。