先制直後の1発を背番号10が決めた。1-0の3回2死二、三塁。西武森友哉捕手(22)は「カウント3-1。思い切りいこう」と、ロッテ酒居の外寄り144キロを強振した。左越えに突き刺す7号3ラン。今季初めて逆方向へ放ち「逆に打てるのは状態が良い時。1本、レフトに出たので、今後の自信になります」と、口元をほころばせた。

 中盤以降は点の取り合いになっただけに、序盤の1発が効いた。これまで榎田が先発の時は炭谷と組ませていた辻監督だが、打撃を買い、初めて森を捕手で起用。「(リードを)勉強しながら打つ方もおろそかにしない。見事なホームラン」と狙い的中を喜んだ。

 昨季は、捕手で先発出場した時は打率2割3分8厘。指名打者時(3割6分2厘)よりも大きく下げた。今季は逆転。捕手先発時は3割4厘で、指名打者時(2割6分6厘)を大きく上回る。森は「切り替えがスムーズに出来ている。オープン戦から捕手で使ってもらったので」と自己分析した。「捕手として点を取られたら、打者として取り返す」気持ちでいる。

 反省もあった。井上には2本塁打を含む4安打と打ち込まれ「そこは聞かんといて下さい」と、苦笑いでリベンジを誓った。試合後はサッカー・ワールドカップの日本対セネガル戦を見るべく帰宅したが、日本戦以外も見ている。注目選手はフランスの背番号10、FWエムバペだ。19歳の新星に「若いし、めっちゃ速い」と目を奪われた。同じ若手として自分を重ね合わせている? 「それはないです。もう若くない。体、しんどいです」。冗談めかしたが、決定力は負けていない。【古川真弥】