虎に新代打の神様登場だ。阪神原口文仁捕手(26)がまた打った。9回、1点を返してなお2死二、三塁で北條の代打で登場し、2点中前打を放った。

 「あそこで走者をかえせたらまだ(試合展開が)分からない状況だったので、走者をかえすことだけ考えていました。打つべきボールに手を出せたのはよかったと思う」

 静まりかえるばかりだった甲子園が、代打・原口のコールに沸いた。背番号94はカウント2-1から谷岡の甘い147キロを狙った。打球はライナーで飛び、中前ではずむ。5点ビハインドで入った最終回。原口の一打でこの回3点となった。濃厚な敗色ムードから、1発出れば同点になる局面までもっていった。

 今季の代打成績は実に25打数12安打。打率4割8分だ。16日の初戦でも8回に適時左前打を打っていた。最近7度の代打機会のうち6度は得点圏に走者がいる場面。首脳陣の信頼ぶりがうかがえる。代打でリーグ2位の10打点。巨人阿部の13に次ぐ数字だ。

 出番は常に試合終盤。昼の球場入りから、延々と長い時間を、すべてはこの一瞬のために費やす。平野打撃コーチは「準備と意識ですね。集中力もすごい。大したもんです」とプロの仕事ぶりを絶賛する。

 梅野が好調、陽川の台頭などもあって、代打の切り札として控えることが多くなっている。もちろん代打専門に甘んじるつもりはないが、この勝負手が阪神ベンチの攻撃の選択肢を増やしている。【柏原誠】