中日平田良介外野手(30)が鉄人ぶりを発揮し、4カードぶりの勝ち越しに貢献した。初回に右前へ2点目のタイムリー。4回も流し打って、ダメ押し打を放った。「追加点のほしいところで打てて、チームも勢いに乗ったと思う」。守備でも見せた。4回1死二、三塁で長野の飛球をノーバウンドで本塁に送球。リクエスト行使で判定がアウトに覆った。「あそこは(二塁走者の)亀井さんを刺しにいくより、岡本を刺しにいったほうがアウトになる確率が高いんじゃないかと思った」と冷静に判断した。

 前日28日には初回に左手小指に死球を受け、病院に直行。「当たった瞬間は、指先がすごく冷たくなって、たぶん骨折しているんじゃないかな、と思った。打撲ですので、強い体に産んでくれた親に感謝したい」。診断に安堵(あんど)し、試合中に球場に戻り、出場への意欲を示していた。この日は試合前に円陣で「さあ、行きましょう!」と声を張り上げ、ナインを鼓舞した。6月下旬にも投球が右膝に直撃。首位打者を争う立場だけに、相手の攻めも厳しい。それでもグラウンドに立つことにこだわる。昨年、故障に苦しんだからだ。

 序盤から平田を中心に打線が爆発し、プロ初登板の巨人高田を早々とKOした。森監督は「いつも初物に弱いと言われている。先頭打者が出て、ウチらしい野球ができた」とニンマリ。今カードはノーヒットノーランという屈辱から始まったが、2連勝で締めた。借金返済に弾みのつく戦いだった。【田口真一郎】