ヤクルト山田哲人内野手(26)が、日本人初の3度目のトリプルスリーに大きく前進した。試合前に恩師の履正社(大阪)岡田龍生監督に激励される中、3回無死一塁から二盗を決め、今季29盗塁として大台にリーチをかけた。バレンティンは3回に勝ち越し33号2ランを放ち、通算250号に史上3位のスピードで到達。主軸2人の活躍で2位に浮上した。

迷わず、初球からスタートを切った。3回無死一塁、一塁走者の山田哲は、4番バレンティンが初球の141キロの直球を空振りする間に加速して二塁に滑り込んだ。29個目の盗塁でチャンスメークすると暴投で三進後、4番の1発でゆっくりと本塁に歩みを進めた。

24日に30本塁打は放った。30盗塁にリーチをかけると、さらに貪欲に狙った。5回1死から四球で出塁し、カウント2-2からスタート。バレンティンの三振の間に二塁に滑り込んでセーフと思いきや、大歓声の中で球審に一塁に戻された。「空振りしたところまでしか見ていない。戻ってと言われたから妨害があったんだと思った」と苦笑い。空振りしたバレンティンのバットが捕手に接触。故意ではないため、その時点でボールデッドと判定された。

思わぬ形で30盗塁とはならなかったが、達成はもはや時間の問題。「30個を目標にしてやってきましたが、その先も貪欲に行けるところまで行くと決めている」と引き締める。試合前には高校時代の恩師に激励された。履正社(大阪)岡田監督は「高校に入った時から足は速くて、身体能力が高かった」と懐かしみ、メールで連絡する際は「『フォーティー・フォーティー(40本塁打、40盗塁)を目指せ』と言ってるんです」と期待した。

残り33試合。恩師の思いも現実にできる可能性がある位置にいる。山田哲は「(岡田監督の)ノックがすごすぎた。守備力、体力、集中力がついた」と感謝しながら「行けるところがあったら行く。その形で1戦1戦やりたい」と貪欲に次の塁を狙う。【前田祐輔】

◆公認野球規則【6・03 a 3・4原注】の抜粋 打者が空振りし、スイングの余勢で、その所持するバットが、捕手または投球に当たり、審判員が故意でないと判断した場合は、打者の妨害とはしないが、ボールデッドとして走者の進塁を許さない。打者については、第1ストライク、第2ストライクにあたるときは、ただストライクを宣告し、第3ストライクにあたるときに打者をアウトにする。(2ストライク後の“ファウルチップ”も含む)