ソフトバンク上林誠知外野手(23)が、延長10回に勝ち越しの18号ソロを放ちチームを3連勝に導いた。

10回2死、楽天松井の甘いカットボールを見逃さず右翼スタンドへたたき込んだ。「狙ってはいなかったが、頭にはあった。カットが来たらああいう打ち方をしようと。大きいのという意識もあった。(自分で決めると)ちょっと思っていた」と笑った。

高校時代から同学年の松井にはライバル意識を持っていた。通算11打席目で初本塁打。「プロでも安打は打っていたが、本塁打は初めて。うれしい」とライバル撃ちの決勝弾は格別だった。2回には先発岸から左前へ適時打を放ち2安打2打点。「8月はまったく貢献できなかったので、9月からまた頑張りたい」。8月は全24試合に出場も2割7厘と絶不調。左足かかとを痛めたこともあり8月26日西武戦では今季初めてスタメンを外された。「調子自体は悪くないのに、1カ月くらい打てない」と自分への怒りが収まらず、毎晩のように眠れない夜が続いた。

この日のスタンドには両親、弟とともに仙台育英時代の恩師佐々木純一朗氏(58)も観戦に訪れていた。佐々木氏からはシーズン開始前に「私もプロになりたかった。プロという夢の世界に入っているんだから、楽しんでやれ」とアドバイスを受けた。上林は「苦しいことばかりですけどね」と苦笑いするが、工藤監督は「昨季と違うところを見せてくれている」と、昨年からの成長を認める。チームは3連勝。首位西武も敗れ、ゲーム差は再び5に接近。同点に追いつかれながらも楽天を振り切り工藤監督は「今日は非常に大きな勝利」と喜んだ。「優勝はあきらめていない」と話す上林が状態を上げていけば、逆転Vへの可能性もますます高くなる。【石橋隆雄】