ソフトバンク工藤公康監督(55)が覚悟のオーダー変更で西武と2勝2敗のタイに持ち込んだ。調子の上がらなかった松田宣浩内野手(35)を先発から外した打線は、先発全員安打の大当たり。上林の3ランや内川の復帰弾などで、CSタイ記録の15点を奪い快勝した。

工藤監督が重い決断を下した。試合前、神妙な顔で「勝つために最善策を選びました。ぼくとしては苦渋の決断。あれだけ勇気がいったことはそうはない」と話した。このCSここまで5試合で21打数4安打と調子の上がらなかった松田宣をスタメンから外した。

松田宣に代わり、ファイナルSから合流した内川が一塁。中村晃が左翼に回り、グラシアルが本職ではあるが今季1軍では経験のない三塁に就いた。思い切ったオーダー変更が実り、先発全員の16安打で、CS最多タイの15得点を挙げた。内川も6回に左腕武隈から左中間へソロ本塁打を放ち、復調をアピール。工藤監督は「選手たちの勝ちたい思いが形として表れたと思う。満足です」と胸をなで下ろした。

球場に着くと、一番に松田宣を監督室に呼んだ。チームに先発メンバーを発表する前に、本人に先発落ちを伝えた。試合前には王球団会長も松田宣を呼び、約5分間話し込んだ。今季は全試合に出場し、先発を外れたのは6月1日のDeNA戦1試合のみ。チームのムードメーカーが外れることによる周囲への影響なども考え、最大限に配慮した。

松田宣は変わらず入念に試合前の練習に取り組み、試合が始まると上着を着てベンチから声を張り上げた。「短期決戦なので、そこは考えていた。盛り上がったと思う」。11点差が付いた5回の守備からは途中出場。2打席で快音は聞かれなかったが、マウンドに上がったルーキー大竹や椎野にも積極的に声をかけ、ベテランとしての役割を務めた。20日の先発復帰は未定だが、藤本打撃コーチは「短期決戦やから、いい人から使わないとね。(20日西武先発の)今井からはマッチ(松田宣)も内川も打っている。うれしい悩みよね」と話した。

西武と2勝2敗のタイに戻した。指揮官は「まだタイなのでね。やっと並んだというところ。とにかく明日。みんなで力を合わせて勝てるようにしたい」。球団初2位からのCS突破へ、覚悟を決めた鷹が強さを見せつける。【山本大地】