東日本国際大(福島・南東北1位)が今春の全日本大学選手権で優勝した東北福祉大(仙台6大学1位)を5-3で破り、学校創立24年目で初、南東北大学野球連盟としても初の神宮大会(11月9日開幕)出場を決めた。171センチの先発左腕・佐々木大輔(2年=山村学園)が9回6安打3奪三振3失点で完投。打っては同点の7回に4番能代勘介外野手(3年=北海道栄)が決勝の2点右越え三塁打を放ち、試合を決めた。

思わず2度もジャンプした。佐々木は最終打者を遊ゴロに打ち取ると、171センチの体を目いっぱい躍動させて跳躍した。ベンチから湧き出た選手と抱き合うと、マウンド付近で歓喜の輪を爆発させた。今夏の全日本王者を撃破しての初神宮。今まで感じたことのない快感が全身を突き抜けた。

佐々木 相手は春の大学日本一。4年生と少しでも長く野球がやりたかった。気持ちだけは絶対に負けたくなかった。

異常な負けず嫌いだ。練習でのダッシュメニュー、スマホの野球対戦ゲームですら、自分が勝つまでやり続ける。この日も自慢の強気の投球で押した。最速143キロの直球は130キロ台中盤止まりだったが、テンポよく低めに集めた。110キロ台の鋭角スライダーも織り交ぜ、2回の3失点のみに抑えた。「持ち味は球速じゃなくてキレ。身長が小さい分、体を大きく使って投げた」。投球時に振り上げた右足と、グラブを持つ右肘をぶつけるダイナミックな投球フォームで強力打線を封じた。

その負けん気を見越して先発に抜てきしたのが、仁藤雅之監督(38)だった。エース船迫大雅投手(4年=聖光学院)、西武から4位指名された粟津凱士投手(4年=山本学園)の2枚看板にあえて中継ぎ待機を命じた。同監督は「佐々木の状態が一番いいし、心臓が強い」と起用意図を説明。相手が予想した先発粟津をかわす勝負手で、優勝を手繰り寄せた。期待に応えた佐々木も「自分がビビッても仕方ない。開き直って楽しく投げた」と笑った。

初の神宮大会は11月12日の初戦2回戦で、関西5連盟1位と関東5連盟2位の勝者と激突する。佐々木は「新チームから、出る大会は全部優勝しようと話してきた」と意気込んだ。神宮大会初出場の勢いそのまま、秋の大学日本一まで一気に走り切る。【高橋洋平】