巨人原辰徳新監督(60)が「2018日米野球」でMLB選抜を相手に第3次政権の“初陣”に臨んだ。背番号83で本拠地東京ドームに戻ってきた指揮官は縦横無尽に手駒を操り、若手の潜在能力を引き出した。4回1死二、三塁で代打で送り出した松原聖弥外野手(23)が1軍デビュー打席でランニング本塁打をマーク。メジャー軍団を相手に、6-9の敗戦もヤングGの面々を躍動させた。

原監督がにぎる拳に松原も拳を合わせた。4回1死二、三塁。前打席で3球三振に倒れた和田の代打に育成出身の韋駄天(いだてん)を送り出した。右腕オテロの初球を捉え、左中間を破る、ランニング3ラン。ベンチの指揮官は右手を突き出すグータッチで迎え入れた。6回には一塁内野安打で出塁し、二盗と相手の失策で一気に三塁を陥れるプレーぶりに「選手たちが持っている能力というものを、自信を持ってプレーする。チームの中で一番実行しているのが松原です」と共同会見で緊張気味に隣に座る若人に目を細めた。

第3次政権の背番号83のユニホーム姿もお披露目された。久々に戦闘服に身を包み「着た時点から過去の数年、多少のキャリアは、自分の中では捨てています。新鮮な形でキャンプも行い、東京ドームで監督として、采配も振るったつもりです。非常に緊張感もありましたし、選手とベンチが一体となって戦っているなと感じた」。8回1死二塁で代打石川も起用に応える適時打をマークすれば、投げては8回の田口、9回の鍬原も3者凡退に抑えて猛アピールした。

メジャー軍団相手に白星には届かなかった。だが、近未来を背負う若手にとっては自信こそが大きな収穫になった。MLB選抜を上回る12安打で真っ向からぶつかりにいった。原監督は「攻撃陣は自信になったんじゃないかなと。練習通りの力試しの場所。立派にできた人もいる」と背中を押した。くすぶっていた能力を掘り起こし、伸ばし、太くする。フレッシュな原ジャイアンツが戦いの場に戻ってきた。【為田聡史】